アルテミア 種の分類

アルテミア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 10:05 UTC 版)

種の分類

種の分類=Species [3]

  • Artemia franciscana
  • Artemia monica
  • Artemia persimilis
  • Artemia salina
  • Artemia sinica
  • Artemia tibetiana
  • Artemia urmiana
  • Partenogenetic population (s)

生活史

生活史の各段階を示す図版
ノープリウス幼生

孵化直後[4]ノープリウス幼生は、二対の触角と一対の大顎をもち、1個のノープリウス眼(単眼)がある。体は前が幅広い三角っぽい形で、体長は約1mm足らず、全身が朱色っぽい赤である。約12時間で卵黄を消費し尽くし、最初の脱皮を行う。植物プランクトンを触角で捕食し、脱皮ごとに体長が伸びて胸部の鰓脚を増やして行き、それに連れて第二触角は小さくなる。15回ほどで成体となる。

繁殖時、オスはメスを追尾し、頭部の把握器でメスの体を後ろ下側から把握し、しばらくつながったままで泳いでいる。種によっては単為生殖も行う。受精後のメスは200個から300個の卵を卵嚢として抱え、環境が良ければそのまま孵化する卵胎生生殖を1週間程度の間隔で2か月以上続ける。

乾期などで環境が悪化するとメスは、乾燥に耐え長期にわたって休眠することができる耐久卵(シスト)を産む。耐久卵は塩分濃度の高い水面に浮いたり、乾燥した湖底で時には数年間環境の回復を待ち、孵化する。この現象には、クマムシネムリユスリカなどのクリプトビオシスと同様に、二糖類のトレハロースを含有することが深く関与している。

人間との関わり

サンフランシスコ湾(Redwood city)の養殖池

ブラインシュリンプ

アルテミアの乾燥耐久卵は保存が利き、塩水に戻すと1日程度で孵化するため、必要に応じて動物性プランクトンを入手できる。このため、観賞魚の飼育・繁殖用として、主にアメリカユタ州グレートソルト湖サンフランシスコ湾産の Artemia franciscana が用いられてきた。近年はエビなどの養殖用として安価な中国、ロシア、カザフスタン産も利用されている。

熱帯魚海水魚の繁殖では、後期仔魚稚魚の飼料に苦労することが多い。ごく小さな顆粒で、魚が喜んで食べるものを、継続して大量に見つけるのは、小規模事業者や個人愛好家には難しい。このため、微小な生き餌が必要なタツノオトシゴクラゲイソギンチャクの飼育にも用いられる。なお、もっと小さい餌が必要な場合には、海水魚用にはシオミズツボワムシが用いられる。

このほか水生環境急性有害性試験の試験生物として用いられ、製品安全データシート (MSDS) や化学物質評価研究機構 (CERI) などのデータの基となっている。STS-47などのスペースシャトルに積み込まれ、宇宙放射線影響実験にも使われた。

日本はアメリカ中国タイなどから輸入している。2010年の財務省貿易統計によると通関量は45.2トンで、アメリカ産が3分の2を占めている[5]

シーモンキー

飼いやすさとその姿のおもしろさに着目して、愛玩用・観賞用に改良された品種がシーモンキー(Sea Monkey、商標)の名で販売されている。

アメリカの通販業者ブラウンハット (en:Harold von Braunhut) によって1957年にインスタントライフ、1962年にシーモンキーと名付けて売り出された。品種改良した New York Ocean Science Laboratories にちなんで Artemia NYOS と名付けられた交配種または品種で、現在シーモンキーとはこれだけを指す[6]とされている。1962年の特許では A. salina などのブラインシュリンプの卵などと記述されている[7]

日本でも昭和40年代[8]テンヨー通信販売商品として、1987年ツクダオリジナルが、ツクダの倒産後は2019年ハピネットが、それぞれ発売した。小さなプラスチック水槽に2種類の乾燥粉末と餌のセットで、テンヨー版の外箱にはアルテミアの胴体に人の顔と手足が付いたイラストが描かれていた。不思議な水生生物で、猿に似た動物だ、というので、子供の関心を引いたものである。アメリカではより非人間的な、しかし人類っぽいイラストが使われた。

説明書には、1時間で生まれる「インスタント・ライフ」とあり、1剤粉末(培養液)を水に溶かし、その24時間後に2剤粉末(卵)を溶かすと、1時間ほどで卵から孵化すると解説されている。実際は1剤に卵が含まれていて、孵化する頃に入れる2剤の青い染料で幼生を見えやすくする簡単なトリックだが、特許を取得していて、現在も踏襲されている。

おばけえびなど

Artemia NYOS(シーモンキー)ほどは丈夫ではないが、A. salinaA. franciscana なども比較的飼育が容易であるため、科学教材として用いられることがある。「おばけえび」、「エビゾーくん」、「生きた化石 ジュラ伝説」、「ゴーストシュリンプ」といった商品名で市販されている。

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ Alireza Asem, Nasrullah Rastegar-Pouyani, Patricio De Los Rios (2010). “The genus Artemia Leach, 1819 (Crustacea: Branchiopoda): true and false taxonomical descriptions”. Latin American Journal of Aquatic Research 38: 501-506. http://www.alireza-asem.ir/Paper12.html. 
  2. ^ C. Drewes, Artemia franciscana, 2002.
  3. ^ Alireza Asem, Nasrullah Rastegar-Pouyani, Patricio De Los Rios (2010). “The genus Artemia Leach, 1819 (Crustacea: Branchiopoda): true and false taxonomical descriptions”. Latin American Journal of Aquatic Research 38: 501-506. http://www.alireza-asem.ir/Paper12.html. 
  4. ^ 吸水後約48時間
  5. ^ NEWS-平成23年2月17日 太平洋貿易株式会社
  6. ^ Sea-Monkeys® What are they
  7. ^ U.S. Patent 3,673,986 (PDF)
  8. ^ テンヨーの歩み 株式会社テンヨーが1971年5月輸入開始


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