アイロニー アイロニーの概要

アイロニー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:57 UTC 版)

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日本語では皮肉骨髄という仏教用語になぞらえ、換喩的に皮肉と訳した(皮肉は骨髄に対して本質的ではない)。その他、一般には反語逆説などの意味でも用いられる。

アイロニーは歴史的に様々な用法を持つに至った言葉であるが、大きくは修辞学と哲学の二つの意味がある。

概要

修辞学

修辞学では、アイロニーとは、本当の考えや意図と違う考えをほのめかすことによって伝えることである。この際には、たとえばほめ殺しのように、誇張法が多く用いられる。その多くの場合は、他人を嘲笑することや諷刺することを目的としている。また、ドラマティック・アイロニーという使われ方がある。これは、観客が知っている真実を喜劇に登場する人物だけが知らず、登場人物たちが右往左往する様子を滑稽として笑うという点で、真実を隠すという意味で「アイロニー」である。

哲学

哲学では、ソクラテスが産婆術と称して、自分が知っていることをあたかも知らない振りをして、若者と議論をするという立ち振る舞いを示した。こうしたソクラテスの挙動は道化振りとして批判もできるだろう。しかし、後にシュレーゲルは、これが自我を解放するための手段になるとして注目する。こうした哲学的アイロニーは、ロマンティック・アイロニー(ロマン主義的アイロニー)と呼ばれるものである。シュレーゲルのアイロニーに対しては、後にヘーゲルやキルケゴールなどが、哲学という真理を探究する領域においては相応しい手段ではないとして、批判的な態度を取った。以下では哲学的な意味でのアイロニーについて示す。

ソクラテス

ソクラテスのアイロニーとは、彼が有名な「無知の知」の対話において、通常の意味では彼も知っている事柄を知っていないかのように振舞った態度のことである。ソクラテス的対話においては、このようにあえて無知を「装う」ことで、言葉が通常の慣れ親しんだ意味から離れ、哲学的な探求へと進む事になる。


  1. ^ a b 大屋憲一、細谷昌志編『キルケゴールを学ぶ人のために』世界思想社、1996年:所収、源宣子『イロニーとフモール』
  2. ^ 川崎寿彦/著「アイロニー irony」『世界大百科事典1』より(平凡社、1988年)ISBN 4-582-02200-6


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