Suite a-Moll BWV 818とは? わかりやすく解説

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バッハ:組曲 イ短調

英語表記/番号出版情報
バッハ組曲 イ短調Suite a-Moll BWV 818作曲年: about 1720年  出版年1866年  初版出版地/出版社Peters 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 アルマンド Allemande3分10 No Image
2 クーラント Courante1分40 No Image
3 サラバンド・サンプル - サラバンド・ドゥーブル Sarabande simple - Sarabande double 1分40 No Image
4 サラバンド・ドゥーブル - Sarabande double - 2分20 No Image
5 ジーグ Gigue2分40 No Image

作品解説

2007年11月 執筆者: 朝山 奈津子

 成立年経緯不明で、イギリス組曲よりは後でフランス組曲よりもわずかに先行するような様式書かれている。が、イギリス組曲より早く成立した可能性否めない弟子たちがこの曲を筆写した楽譜帖の内容からバッハがこれを《フランス組曲》に拾遺する計画持っていたとも考えられている。しかし、いったんは楽章追加削除どしたが(BWV818a)、改訂稿が曲集に加えられることはなかった。
 アルマンド冒頭は、F.クープランの『クラヴサン曲集第4巻』(1730)第21組曲第3番の《ラ・クープラン》とひじょうによく似ている。これが引用であるとすれば、この曲集の刊行のかなり前にバッハなんらかの機会手稿譜を通じてこの曲を知っていたことになる。バッハF.クープランをその著書クラヴサン奏法』(1716)含めよく研究しており、また『クラヴサン曲集第2巻』(1717)の《牧歌ロンドー)》の異稿筆写しているので、このアルマンドに関して出版以前作品入手したという可能性大いにある。楽曲平易な順次進行基調として坦々と進むが、調推移とりわけ前半カデンツにおける和音進行は少し変わっている通常の舞曲前半最後属調ないし平行調転調して終止し、後半はそれらの新しい調から主調へと戻るのが一般的だが、このアルマンドでは、第7-8小節でこそ属調e-Mollの属和音維持されるが、第9小節前半でなぜかa-Mollへと押し戻されてしまう。さらに第10小節の第1拍でもa-Mollの完全終止が起こるため、前半はa-Mollの属和音、すなわち半終止閉じられる後半はa-Moll、d-Moll、G-Dur、C-Durを経て主調へと戻っていく。したがって楽曲全体通じて属調e-Mollが確立されるとがない。このアルマンドにすっきりとした明るさがなく、どこか憂鬱な雰囲気が漂うのは、そのためかもしれない
 クーラントは2声で、前半後半それぞれ8小節からなる精緻な和音進行構造をもっており、前半下属調F-Durを通って平行調C-Durへ、後半はC-Durからその属調G-Dur、さらにその平行調e-Mollからいったん主調a-Mollに戻り、d-Mollへ進む。終結向けて再び主調に戻らねばならないが、この第14-15小節解決は見事である。小規模ながらも色彩感に富んだ和声満ちている。
 サラバンドは、下方分散和音による装飾主要なモティフとするが、簡明比較かろやかなタイプのもの。一方、ドゥブルは2声の対位法よる。構成は独特で、反復含めると A(a+b)-A(a+b)-B-A(a+b+b)となる。なお、このような最後に反復されるbを「プティット・ルプリーズ」と呼ぶ。
 ジーグ簡潔な主題による3声フーガになっている前半主題下行形、後半は上行形で、後半終結部ちかくでこの2つの形が組み合わされる。また、前半後半中間の完全終止によってそれぞれ更に2つ分かれる先行するセクションの方が劇的展開を含んでおり、前半回音音型、後半は3オクターヴ半に渡るドラマティック下行スケール彩られる。後続セクションでは提示され素材だけを用いて落ち着いた流れ作り出している。

 後期稿BWV818aにおいては前奏曲メヌエット追加されサラバンド改訂、さらにサラバンドのドゥーブルが削除された。
 前奏曲についてバッハタイトル指示していないが、様式の上から「プレリュード」と呼ぶことができる。非常に珍しいことに、開始部に「快活に(フォール・ゲー) Fort gai」という速度標語書き込まれている。書法はやや荒削りで、即興風の常套句散見されるため、バッハ古い作品組曲前奏として組み合わせたか、あるいは構想だけをスケッチした後年の作品という可能性がある。
 一方メヌエットいかにもバッハらしい、充分に熟した様式備えている。冒頭2分割16分音符だが、すぐに三連符動機に取ってわられるのは、ギャラント様式典型的な手法である。
 サラバンドは完全に新しいものを作ったわけではなく初期稿素材基本とする。が、対位法的な要素は完全に失われ後半右手主動機を担う。
 シューレンバーグは、初期稿後期稿のサラバンド変奏関係にあることから、ドゥーブルを含めた3つのサラバンド並べて演奏することを提案している。確かに挿入舞曲極端に少ないこの組曲では、そうした試み説得力のある演奏になるかもしれない




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