グリーグ:抒情小品集 第4集
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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グリーグ:抒情小品集 第4集 | Lyriske smastykker No.4 Op.47 | 作曲年: 1885-88年 出版年: 1888年 初版出版地/出版社: Peters |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 即興的ワルツ "Valse-Impromptu" | 4分00秒 | |
2 | アルバムのページ "Albumblad" | 3分00秒 | |
3 | メロディー "Melodie" | 5分00秒 | |
4 | ハリング "Halling" | 1分30秒 | |
5 | メランコリー "Melankoli" | 3分30秒 | |
6 | スプリング・ダンス "Springdans" | 2分00秒 | |
7 | エレジー "Elegie" | 4分00秒 |
作品解説
1867年、《ピアノ協奏曲イ短調 作品16》で一躍有名になったグリーグは、この年から1901年にかけてこの作品集を書き上げた。生涯にわたって作曲されているため、グリーグの作風、ピアニズム、その変遷すべてがその中にあらわれており、グリーグの作品の中でも中心的な存在にある。
いずれも1分~6分程度のかるめの小品であり、ステージ用というよりは、主にサロンや家庭で広く親しまれていた。いずれの曲も、標題がつけられており、それぞれの曲に対して、一つの感情、気分、情景が表現されている。
1867年、第1集を発表したが、その後ピアノ、作曲、指揮など多忙だったこともあり、第2集が発表されたのは、その16年後であった。第2集から第10集はある一定の間隔をおきながら続けて作曲された。全10巻で、計66曲の作品がおさめられている。
グリーグ : 抒情小品集 第4集 / Lyriske smastykker No.4 op.47
第4集は、第3集の出版からちょうど10年後にあたる1888年に出版された。比較的やさしい技巧で弾くことができた第3集までの作品と比べ、第4集以降、やや難易度が増している。また、第3集にみられたような、全曲を通しての内容の一貫性はない。
1.即興的ワルツ / op.47-1 "Valse-Impromptu":民族的な舞曲のリズムにのせて、右手でどことなく物憂げで神経質なメロディがさまようように奏でられる。Strettoの部分は即興的で、非常に煌びやかな効果をあげている。全体的に単調にならないよう、ハーモニーの変化を感じて奏する。
2.アルバムのページ / op.47-2 "Albumblad":なにか輝かしい良き日の思い出を想わせるような、一曲。第3指、第4指、第5指を頻繁に使用するため、技巧的に難しい。メロディが中心となる主要な箇所と、挿入句的なパッセージの部分とは、耳の使い方を変えて、効果的に弾きわけるとよいだろう。
3.メロディー / op.47-3 "Melodie":左右の手にわけられた和音が一定のリズムを保ちながら、伴奏をきざみ、その上を憂いにみちた旋律が延々と歌われていく。右手で和音の一部を奏しながら、いかに右手の旋律を音楽的に奏でることができるかが重要になってくる。そのために、伴奏のリズムに推進力をもたせることも大切であろう。
4.ハリング / op.47-4 "Halling":民族的な和声とリズムの面白さが魅力的な曲。第2集の〈ハリング〉と同じリズムが用いられている。左手が5度の音程をシンコペーションのリズムで一定に刻み続ける。時に音量を変化させながらも、このリズムをかなり正しくとることが、曲の雰囲気を出す上で重要になる。右手とは強迫拍の位置が異なっていることも意識して左右を独立させて弾きわけなければならない。
5.メランコリー / op.47-5 "Melankoli":タイトルが示すとおり、ため息のような旋律が欝欝とした様子で静かに奏される。各部によって、支えになっている持続音が変化しているので、これを意識して、色合いを変化させていくとよいだろう。
6.スプリング・ダンス / op.47-6 "Springdans":1975年に出版された《家庭音楽集》の中に既におさめられていた曲を改訂したもの。舞曲のリズムを左がきざみ、その上を活気に満ちた旋律が進んでいく。大きな跳躍をみせる技巧的な部分、叙情的な中間部など魅力に富んでいる。中間部の旋律は、比較的あっさりめに弾くほうが旋律のもつ性格が活かされるだろう。和声的な進行を意識し、主要な音の動きを把握して演奏することも大切である。
7.エレジー / op.47-7 "Elegie":旋律につけられているアクセントは、強く、というよりはテヌート気味に奏される。物憂げに繰り返される旋律に対して、下降していく右手の和音の色づけにも心を配りたい。中間部では、装飾音を帯びて増やされた音とともに、抑圧された悲しみも、より増していくように感じられる。
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