IGZOとは? わかりやすく解説

イグゾー【IGZO】

読み方:いぐぞー

酸化物半導体の一。インジウム(In)、ガリウムGa)、亜鉛Zn)、酸素(O)からなり、ほぼ透明な薄膜をつくることができる。従来アモルファスシリコン代わりに使うことにより、高精細で低消費電力液晶パネル製造が可能となる。InGaZnOx


IGZO

フルスペル:Indium Gallium Zinc Oxygen, Indium Gallium Zinc Oxide
読み方アイジーゼットオーイグゾイグゾー
別名:InGaZnOxInGaZnOインジウム・ガリウム・亜鉛・酸素の化合物インジウム・ガリウム・亜鉛の酸化物

IGZOとは、インジウム(In)、ガリウムGa)、亜鉛Zn)を酸化(Oxidize)させることで結晶性持たせた酸化物半導体のことである。2011年シャープ薄膜トランジスタTFT)の半導体材料として初め実用化した。液晶パネル向けの新し半導体材料として注目されている

IGZOは、従来半導体材料比べて電子移動しやすい(電子移動度が高い)という特徴を持つ。このため薄膜トランジスタTFT)を構成するトランジスタ小型化、および、回路の細線化が可能となる。トランジスタ小型化画素高密度化可能にし、より高精細画面実現する回路の細線化は、バックライトの光を遮らずより多く透過することで発光効率向上し消費電力量低減実現する

また、IGZOでは、画面リフレッシュ行わず一定時間表示内容維持することができる。従来TFT液晶秒間60回ほど画面書き換えを行う必要があったが、IGZOは秒間数回程度まで書き換え回数抑えることができる。消費電力量従来の1~2割程度まで削減可能であるという。

シャープ2011年4月に、半導体エネルギー研究所との共同開発によってIGZOを使用した液晶パネル用の薄膜トランジスタ開発した発表した2012年4月に、従来液晶パネル生産ライン使用したIGZO液晶量産開始する発表している。2012年6月には「CAAC」(C-Axis Aligned Crystal)と呼ばれる新たな結晶構造発見され、より安定した信頼性の高い薄膜トランジスタ製造可能になった。

2012年7月Appleが「iPad mini」を開発しているとのリーク情報流れた際、そのディスプレイにはIGZO液晶採用されるとも噂された。同年11月実際に発売されiPad miniには、IGZO液晶搭載されなかったが、AppleRetinaディスプレイIGZO液晶との相性はたいへんよいといわれている。

2012年11月までに、IGZO液晶採用した4K2Kの大画面液晶テレビ、4.9インチマルチタッチ対応スマートフォンなどを発表している。


参照リンク
酸化物半導体を採用した中小型液晶パネルを世界で初めて実用化 - (シャープ プレスリリース 2011年4月21日
IGZOテクノロジーのご紹介 - (シャープ
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光ディスク:  追記型光ディスク
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IGZO

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/27 10:20 UTC 版)

IGZOイグゾーは、インジウム (Indium)、ガリウム (Gallium)、亜鉛 (Zinc)、酸素 (Oxygen) から構成される物質の略称。


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  5. ^ シャープ再建の切り札IGZO液晶の“不都合な真実” ダイヤモンド・オンライン
  6. ^ 任天堂の新型「スイッチ」、シャープのIGZO採用へ - WSJ
  7. ^ 各社の違いはココだ! 麻倉怜士の有機ELテレビ画質比較教室(2/5 ページ) - ITmedia NEWS
  8. ^ 【IMID】酸化物半導体TFT駆動のフレキシブル有機EL,韓国LG Electronicsが開発 | 日経クロステック(xTECH)
  9. ^ 商標登録第5451821号
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  22. ^ 特許6217196


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