H定理とは? わかりやすく解説

H定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 23:12 UTC 版)

ルートヴィッヒ・ボルツマンの墓碑(オーストリア、ウィーン)

H定理(エイチていり、: H-theorem)とは、理想気体エントロピーが不可逆過程では増大することを示す統計力学定理。すなわち、熱力学第二法則分子論的に説明するものである。1872年ルートヴィッヒ・ボルツマンボルツマン方程式の考察から導いた。

H定理は、微視的には可逆(時間反転可能)な力学的過程からエントロピー増大則を導くということで、その正当性について数多く議論がなされてきた。力学からの不可逆性の導出に関しては、H定理以外にも多くの試みがなされているが、現在もなお物理学の未解決問題の一つと考えられている。

なお、この定理は現在ではエイチ定理と呼ばれるが、H はラテン文字のエイチではなくギリシャ文字 ηイータ)の大文字である、とする意見もある[1]

H定理

H という量は、速度空間上の積分

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H定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 16:21 UTC 版)

ボルツマン方程式」の記事における「H定理」の解説

詳細は「H定理」を参照 孤立した粒子系を考え時間関数 H(t) を H ( t ) ≡ ∬ f ln( f ) d v d r {\displaystyle H(t)\equiv \iint f\ln(f)\,\mathrm {d} {\boldsymbol {v}}\,\mathrm {d} {\boldsymbol {r}}} で定義する。ただし、積分速度に関して全速度、空間座標に関して粒子系が占める全領域わたって行う。すると上記ボルツマン方程式両辺ln f乗じて v', r について積分し、変形することにより d H d t = − 1 4 ⨌ ( ln ⁡ ( f ′ f 1 ′ ) − ln ⁡ ( f f 1 ) ) ( f ′ f 1 ′ − f f 1 ) g d Ω d v d v 1 d r {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} H}{\mathrm {d} t}}=-{\frac {1}{4}}\iiiint (\ln(f'f_{1}')-\ln(ff_{1}))(f'f_{1}'-ff_{1})g\,\mathrm {d} \Omega \,\mathrm {d} \mathbf {v} \,\mathrm {d} \mathbf {v_{1}} \,\mathrm {d} \mathbf {r} } が得られる。ここで被積分関数は (ln x − ln y)(x − y) の形をしていて常に正または0であるから d H d t ≤ 0 {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} H}{\mathrm {d} t}}\leq 0} が結論される。これがボルツマンのH定理である。そして H はこの粒子系のエントロピー S と S = − kH と関係付けられるから(k はボルツマン定数)、これは粒子系のエントロピー時間とともに増大する一定値にとどまるだけで、減少することはないことを意味する。そしてさらに、それが一定値にとどまるためには全領域で f' f'1 = f f1 が成立することが必要となる。そのとき f はマクスウェル分布であることが示される。 なお、孤立系でなくても粒子空間分布一様な場合は r の積分任意の有限領域限定することにより、dH/dt に対し上記と同じ形の式が導かれ、同じ結論得られる。しかし、空間的に一様な分布場合には余分な項が生じ上の議論成り立たない。これはその領域隣接領域との間にエントロピーやり取り生ずるので、エントロピーの非減少保証されないことを意味する。 H定理はボルツマン時代から力学可逆性との関係活発な議論巻き起こし、それがこの定理物理的内容理解深めた。またその概念その後ボルツマン方程式離れて広く論じられた。

※この「H定理」の解説は、「ボルツマン方程式」の解説の一部です。
「H定理」を含む「ボルツマン方程式」の記事については、「ボルツマン方程式」の概要を参照ください。

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