BMAA
BMAA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 16:33 UTC 版)
L-アラニン誘導体であるβ-メチルアミノ-L-アラニン(英語版)(BMAA)は古くから神経毒として同定されており、グアムのチャモロ人にみられる筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン-認知症複合(ALS/PDC、リティコ・ボディグ病(英語版))と最初に関連づけられた。広範囲に存在するBMAAは、シアノバクテリアによって窒素ストレス下の複雑な反応の結果として産生されたものであるとされている。研究の結果、BMAAの作用機序は興奮毒性である可能性が高く、グルタミン酸のアゴニストとしてAMPA受容体やNMDA受容体を活性化し、10 μMという比較的低い濃度でも細胞損傷を引き起こす。その後の無制御なCa2+の流入によって、疾患の病理が引き起こされる。MK801などのNMDAアンタゴニストがBMAAの作用を遮断することからも、BMAAが興奮毒であることが支持される。BMAAは、L-セリンに代わってヒトのタンパク質に誤って取り込まれることも示されている。BMAAの毒性に関する研究のかなりの部分は齧歯類に対して行われたものであるが、2016年にapoE4(APOE-ε4)アレル(これはヒトではアルツハイマー病の危険因子である)をホモ接合型で持つ、セントクリストファー島のベルベットモンキーChlorocebus sabaeusに対して行われた研究では、BMAAを経口投与されたサルは、アミロイドβプラークや神経原線維変化(英語版)の蓄積など、アルツハイマー病に特徴的な病理組織学的特徴がみられた。より低用量のBMAAが投与された試験では、こうした病理学的特徴が相関的に減少することが明らかにされた。この研究では、環境毒であるBMAAは遺伝子と環境の相互作用の結果として神経変性疾患を引き起こすことが示された。死去したALS/PDCの患者の脳組織ではBMAAが検出されるが、ヒトの神経変性疾患とBMAAを結びつけるにはさらなる知見が必要である。
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