陸上生活との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 17:25 UTC 版)
体内受精は、一般の事典などでは陸上動物の特徴とされている。精子は水中でしか移動できないから、陸での受精は体内受精しかないのは確かで、恐らく陸上生活への進化の過程で、体外受精から体内受精へと進化したものが多々あったであろう。例えば昆虫のトビムシや、クモ綱各目における精包受け渡しのあり方などにそれが伺える。これらは陸上に進出した分類群の中でも歴史が古いことが知られている。 鋏角類では現在も水中生活であるカブトガニ類が体外受精で、雌の背後からしがみついた雄が、雌の産卵に合わせて放精する。陸上生活のクモ綱ではサソリを始め多くの目では雌雄がペアを組み、雄が地表に精包を置き、雌をそこに誘導して拾わせる。クモ目では雄の触肢に交接器が発達し、これに精子を貯めて雌の性器に挿入する。ザトウムシ目では真正の交尾が行われる。 しかし他方、水中生活の中で体内受精を行っているものも実は多数ある。甲殻類の場合、陸上進出も行っているが、水中生活のものもしっかり体内受精である。特に脊椎動物では魚類と両生類は体外受精、爬虫類、鳥類、哺乳類は体内受精ということもあり、陸上生活への適応と見なされやすい。しかし、軟骨魚類は体内受精である。また、両生類の場合、体外受精なのは実はカエル類のみであり、有尾類の大部分と無尾類は体内受精である。したがって、さまざまな動物群における体内受精を単純に陸上生活への適応と考えるのは誤りであろう。
※この「陸上生活との関連」の解説は、「体内受精」の解説の一部です。
「陸上生活との関連」を含む「体内受精」の記事については、「体内受精」の概要を参照ください。
- 陸上生活との関連のページへのリンク