金融リテラシーの不足
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 05:47 UTC 版)
日本では投資や金融に関わる「現実世界」に関する教育が必ずしも十分であったとは言い難く、特に株式投資に関しては「投資=投機」という混同・誤解のため「株式投資=素人が手を出してはいけない危険なマネーゲーム」という認識で拒絶する人口が少なくない(ただし極端な反対方向としてFXのような純粋マネーゲームを好む人口も存在する)。このため、適度なリスクをとっても積極的運用で老後資金を増やす姿勢に乏しく、日本版401kに拠出しても投資先は超低リターン(=低リスク)の元本確保型の投資先を選ぶ加入者が多い。年齢が高くなるほどこの元本確保指向傾向は強く、2011年の調査(人数ベース) では50歳代加入者のうち男性の53%、女性の67%が元本確保型商品を選んでいる。そのような場合、日本版401Kは実質的に「60歳まで引き出し・解約のできない定期預金」としてしか機能しないため、運用益の課税繰延の複利効果のメリットが広く享受されていない。 これに対してアメリカの2010年の調査(金額ベース) では、50歳代の401(k)の投資先比率は以下のとおり。 株式ファンド - 40% 混合ファンド - 17% 債券ファンド - 12% 元本確保ファンド - 16%(マネーマーケット、保険会社の販売するGIC(Guaranteed Investment Contracts、保証投資契約)など) 自社株ファンド - 9% その他・不明 - 6% 上記のアメリカの調査では、401(k)の元本確保型投資比率は、20代の7%から60代の23%に年齢とともに徐々に増加するが、60代すなわち退職寸前あるいは退職後でも株式ファンドと混合ファンドの投資比率はそれぞれ34%、16%と運用益を得る意欲を見せており、証券会社などの専門家も、退職後は安定重視姿勢をとりつつもある程度の運用益を追求するため一定割合で株式ファンドに投資するように勧めている(ただし、株式ファンドの内容は、例えば海外株式や中小企業株式のようなハイリスク・ハイリターンから国内大企業株式のような安定型投資中心にシフトする傾向はある)。日本では退職一時金制度が普及しているが、それまでに投資経験の全くない元労働者が退職時に手にした大金で「にわか投資家」になり、銀行などの言われるままにふさわしくない投資商品を高額一括購入してしまう例などが指摘されている。確定拠出年金法では企業に継続的な投資教育を義務付けているが、実施率は6割強と言われる。
※この「金融リテラシーの不足」の解説は、「401k」の解説の一部です。
「金融リテラシーの不足」を含む「401k」の記事については、「401k」の概要を参照ください。
- 金融リテラシーの不足のページへのリンク