翻訳論と日本近代の思想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/18 09:21 UTC 版)
西周は、学術語とくに哲学用語を訳したといわれる。近代語に関わる着眼点に以下のようなものをあげられる。まず、西洋の概念等が翻訳されたときに、何種類かの訳語が存在したこと。次に翻訳にあたっての「等価」の問題である。翻訳語は必ずしも言語の意味を正確には伝えていない。訳語が一度定着すると、「統計」=statistics等と固定される。しかし、rightは「権利」であるとともに、右側の意味もあり、よい意味に使うものの、日本語の「権利」の「権」の字は悪い意味にも使用する。また、西周の発明した哲学用語は、日常語彙との間に距離があるが、西洋のphilosophyは哲学であると共に、「ものの見方」「考え方」「原理」等の意味にも使用され、日常語と学術用語がつながっているという。つまり、明治期の翻訳には、功罪や虚像があり、そのことが近代語を検討する意味や意義ともいえる。
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