哲学用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 04:59 UTC 版)
「ヤマアラシのジレンマ」とは、「自己の自立」と「相手との一体感」という2つの欲求によるジレンマ。寒空にいるヤマアラシが互いに身を寄せ合って暖め合いたいが、針が刺さるので近づけないという、ドイツの哲学者、ショーペンハウアーの寓話に由来する。その日本語訳は以下のとおりである。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}ある冬の寒い日、たくさんのヤマアラシたちが暖を求めて群がったが、互いのトゲによって刺されるので、離れざるを得なくなった。しかし再び寒さが彼らを駆り立てて、同じことが起きた。結局、何度も群れては離れを繰り返し、互いに多少の距離を保つのが最適であるのを発見した。これと同様に、社会における必要に駆り立てられ、人間というヤマアラシを集まらせるが、多くのトゲや互いに性格の不一致によって不快を感じさせられる。結局、交流において許容できるような最適の距離感を発見し、それがいわゆる礼儀作法やマナーである。それを逸脱する者は、英語では「to keep their distance」(距離を保て)と乱暴に言われる。この取り決めによって、初めて互いに暖を取る必要が適度に満たされ、互いの針で刺されることも無くなる。とは言え、自らの内に暖かみを持つ人間は、人々の輪の外に居ることを好むであろう。そうすれば互いに針で突いたり突かれたりすることも無いのだから。 この概念について、のちにフロイトが論じ、精神分析家のベラック(Bellak、1916-2002)が名付けた。心理学的には「紆余曲折の末、両者にとってちょうど良い距離に気付く」という肯定的な意味として使われることもある。 なお、実際のヤマアラシは針のない頭部を寄せ合って体温を保ったり、睡眠をとったりしている。
※この「哲学用語」の解説は、「ヤマアラシ」の解説の一部です。
「哲学用語」を含む「ヤマアラシ」の記事については、「ヤマアラシ」の概要を参照ください。
- 哲学用語のページへのリンク