第1次全集版(ハース版などの旧全集版)
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「ブルックナーの版問題」の記事における「第1次全集版(ハース版などの旧全集版)」の解説
前記の初版群に含まれる弟子たちの関与を明らかにしそれを除去すべしという研究者の機運から、1929年、ウィーンにて、国際ブルックナー協会(Internationale Bruckner-Gesellschaft, 略称IBG)が創設された。1933年には、協会校訂譜の出版社も設立された(Musikwissenschaftlicher Verlag 、略称MWV、日本語名「音楽学出版」)。1945年(第二次世界大戦終結)までの間、ロベルト・ハースが主幹編集者を務めた。この時期、初期にはアルフレート・オーレルが、後期にレオポルト・ノヴァークが校訂作業を共にした。この間、以下の楽譜が「原典版」と称して出版された。 1930年 レクイエム(ハース校訂)、荘厳ミサ曲(ハース校訂) 1934年 交響曲第9番(オーレル校訂)、4つの管弦楽小品(オーレル校訂) 1935年 交響曲第1番、第5番、第6番(ハース校訂) 1936年 交響曲第4番(ハース校訂) 1938年 交響曲第2番(ハース校訂) 1939年 交響曲第8番(ハース校訂) 1940年 ミサ曲ホ短調(ハースおよびノヴァーク校訂) 1944年 交響曲第7番(ハース校訂)、ミサ曲ヘ短調(ハース校訂) これらを「第1次全集版」または「ハース版」と称している。オーレルが校訂した楽曲については「オーレル版」と称することもある。 ただしこのプロジェクトは、第二次世界大戦の中で作業が滞った上、ナチス・ドイツの協力を受けていたことにより戦後に頓挫し、ハースが国際ブルックナー協会を追放される結果となった。この時点で、校訂報告が残されていない曲も多数残ったほか、校訂・出版に至らなかった曲もいくつか残された(交響曲の中ではヘ短調・第0番・第3番は第1次全集が残されなかった。このほかにもたとえば第4番1887年稿の校訂・出版の計画がありながら実現しなかったとも伝えられる)。 そのほか、初版出版に尽力した音楽家との対立により一部の資料を参照できなかったこと、アルマ・マーラーが保有していた交響曲第3番の第1 - 3楽章の自筆譜(第2稿相当。ブルックナーは第1稿の自筆譜をそのまま流用して改訂を行った)を参照できなかったこと、などの問題にも直面したとの話も伝わっている。なお、ナチス・ドイツの台頭により、1938年時点で国際ブルックナー協会は公的には解散、1951年まではライプツィヒで活動を続けていた。 ハースの仕事はその後、後述のノヴァークが引き継ぐことになるが、その中でノヴァークは、ハースの校訂態度の一部を主観的なものであると批判、例えば交響曲第2番、第8番などにおいては、作曲者が残した複数の稿を合成、折衷してしまっていると指摘した。ただし、ハース版全てが複数の稿を合成、折衷しているわけではない。交響曲第4番終楽章や第1番のように、作曲者自身による異稿を別個に校訂し残したものもある。 またハース失脚後、ハースの意志を尊重しフリッツ・エーザーが交響曲第3番を校訂した「エーザー版」があり、一旦戦争で版が消失したといわれていたが戦後に発見され、しばしば第1次全集の範疇に含められる。
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第1次全集版(ハース版など)
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「アントン・ブルックナー」の記事における「第1次全集版(ハース版など)」の解説
初版に含まれる弟子たちの関与を除くために、国際ブルックナー協会は、ロベルト・ハースなどにより、譜面を校訂、「原典版」として出版し続け、一定の成果をあげた。これらを「第1次全集版」または「ハース版」と称している。 しかし第2次世界大戦後、ハースはナチス・ドイツとの協力関係から、国際ブルックナー協会を追放された。この時点で、校訂されていない曲も多数残った。特に交響曲第3番はハース版が未出版のまま終わっている。後にハースの意志を継いだ弟子たちの手によってエーザー版が出版された。ノヴァーク版が出版されるまで、交響曲第3番ではこのエーザー版を使用することが一般的だった。
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