登山用テント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 07:15 UTC 版)
登山では、テントを含む全ての荷物を背負って行動するため小型軽量、かつ強風に耐えることが求められる。 テントのシートに防水性があっても、それ1枚だけでは結露や人間自体の呼吸・発汗等によって内部が湿ってしまうため、フライシートとインナーシート(インナーテントとも呼ばれる)で二重構造にし、隙間を作ってこの問題を解決しているものが主流である。フライシートには防水性が高いものを、インナーシートには底面以外に通気性がある素材が使用されていることが多い。ゴアテックスを本体に使用しフライシートがないテントもある。 8人以上が入れるタイプは大規模登山におけるベースキャンプ用途であり、かなりまとまった設営スペースが必要となるので一般的な登山には不適である。大型になるほど風雪に弱く、飛ばされてしまった時のリスクを分散するため、登山では10人以上であっても4-6人タイプのものを複数使う。 登山以外にも、軽量であることに着目し、野宿を伴う徒歩旅行、自転車・バイクのツーリングにもよく使われる。重量が多少アップしても居住性やコストを重視した、ツーリング向けモデルを出しているメーカーもある。 使用時期によりスリーシーズン(春、夏、秋)用と冬季用に分かれる。 非常時やビバーク時などに使用されるツェルトと呼ばれる小型軽量テントもある。 比較的低い山で使っているテント 登山用テントのさまざまな形状、さまざまな色。 雪山とテント 雪山ではテントが雪に埋もれることがある。 エベレスト登山のベースキャンプのテント 登山用テントの内部とそこに暮らす登山家たちの様子。 登山用テントの歴史 エドワード・ウィンパーが1862年にウィンパー・テントを発明し、後のテントの基本となった。また自分で運搬する場合にはママリー・テントが利用された。 日本においてはエドワード・ウェストンなど外国人による登山を別にすれば、小島烏水らが1909年赤石山脈に登った際に装備担当となった三枝威之介がスイス製を参考に設計し、当時東京京橋船松町にあった帆布店片桐に作らせたものが最初とされている。 その後登山でも三角柱を寝かせた形のテント(A型テント)やそれを改良した家型(ロッジ型)テントが主流であった。 1970年に2本のフレームを本体スリーブを通してX字状に組み、本体四隅の穴に通してその張力で本体を自立させ、柔構造で軽量と耐風性を兼ね備えるドーム型テントエスパースが東京で発売され、フレームの丸みゆえに居住空間も大きく圧迫感がないことから急速に広まった。また1970年に試作され1971年に関西で発売されたカラコルムテントはスリーブを使わず、フレームを自立させた後でテント本体をフックでフレームに吊り下げる方式を採り、凍えた手で厚いミトンをしたままでも迅速に設営撤収ができた。これらの発明によりウィンパーテントは急速に姿を消し、その後はドーム型テントが主流である。同じドーム型でも複数のポールを使うものや魚座型にクロスさせるなどメーカーにより様々な工夫が成されている。 登山用テントの例 代表的な登山用テント(カッコはメーカー名) エアライズ(アライテント) ステラリッジテント(モンベル) VL(プロモンテ) メスナー(ニッピン) フュージョン(マウンテンセーフティーリサーチ)
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