発明家としての評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 04:59 UTC 版)
彼は革新的な機械設計にも秀で、攻城兵器や彼の名を冠したアルキメディアン・スクリューなどでも知られる。また、数々の武器を考案したことでも知られ、シラクサの戦いにおいて、てこを利用した投石機を用いて敵の海軍を打ち破った。 ギリシア的学問は純粋に論理を展開することに美しさを見出して重視し、実利的・営利的な技術などの知識はむしろ軽蔑された。プルタルコスは『対比列伝』(「英雄伝」)にて、「彼(アルキメデス)は純粋なる思索にすべての愛情と大望を注ぎ、俗な実用的応用を論及したことは皆無だと言い切れる」と記したと書いた。(ただしソクラテスのように実利性があれば必要だとしても実利性ない学問は意味がないとする哲学者もいた。) この2つの側面を併せ持つアルキメデスは、数学に限らずこの時代の学者としては異例な存在だった。しかし、この矛盾する2つの側面をアルキメデスは共存させながら、ピタゴラス的な数の概念とは大きく異なる「天文学的数字」を『砂の計算』で想定したり、現代の積分法に繋がる方法で面積を求めつつエウドクソスの方法で証明しなおしたりと、自己内に相克を見せた。だが、このような論理と技術の鬩ぎ合いは特に近代ヨーロッパ以降で表面化した数学の現象であり、それが数学を進歩させた原動力となった。アルキメデスが生きた時代にはこのような矛盾を孕んだ発展は望むべくも無く、彼以後のギリシア数学は形骸化した権威に沈んだ。
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