生理的な面から
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 17:22 UTC 版)
基本的な生命活動、たとえば呼吸や、物質合成、エネルギー代謝、遺伝情報の複製などは細胞ごとに行われている。個体としては、細胞ごとの活動を維持し、それを全体としてまとめる働きが必要となる。 具体的な内容としては、細胞間での栄養分や老廃物のやり取り、それらの摂取や排出の取りまとめがそのひとつである。これは、動物の場合には消化系や排出系などの器官があるが、それらの間を橋渡しするのが循環系の役割である。植物の場合には維管束系がその役割を果たす。 もう一つは、体内の各部分の働きを調節し、外部や内部からの刺激に対して適切に反応するための、情報伝達の仕組みである。動物の場合、これは神経系と内分泌系の二つによって実現されている。植物の場合、ホルモンがこの役割を果たしているが、詳細はいまだに十分に解明されていない。 動物、植物以外の生物においては、これらの仕組みは明快ではなく、特定の器官や組織などを見いだしがたい。菌類においては、細胞間に連絡があり、物質や核などが行き来することが示されている。変形菌の変形体においては、非常に速度の早い原形質流動が、往復運動を行うことが知られているが、これは変形体全体での物質の移動を可能にするためであるとも考えられる。 なお、動物では神経系が内分泌系をも支配する傾向がある。また、高等な動物ほど神経系の前方にまとまった脳が形成され、機能が集中する傾向がある。特に脊椎動物はその傾向が強い。このため、このような動物では頭が個体全体を代表する立場を取る。脳死をもって人の死と見なすのもここに係わるものである。
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