現存する文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 01:49 UTC 版)
人形浄瑠璃 - 文楽(ぶんらく)とも呼ばれ、ユネスコの無形文化遺産に登録され、日本の重要無形文化財にも指定されている。人形浄瑠璃の操り人形には「エンバ板」と呼ばれる鯨のひげが使われておりその滑らかな動きの要因となっているといわれる。交換部品として鯨のひげが大切に保管されているが、捕鯨問題と関連して鯨のひげが無くなってしまう事が懸念されていて、現在の工業品で代用することも検討されるが、素材の独自性も文化の一部であるという理由から安易な代用品の使用を疑問視する声もある。ちなみに1633年(寛永10年)の頃から人形の生産や販売で成り立っていた東京の人形町にも鯨のひげの利用から感謝の意を表した鯨を象った鯨の碑がある。 からくり人形 - 「からくり儀右衛門」の通称でしられる田中久重などが作製した。日本のロボットの原点ともいわれる、からくり人形のゼンマイも鯨のひげで作られている。現在では市販品などで復刻品が作成されているが、ゼンマイは工業品で代用されている。真作の補修修理や文化的見地から作製される複製品においても忠実性から鯨のひげの使用を望む声がある。 鯨細工(クジラ工芸品)とは詳細にいえば鯨べっこう細工と鯨細工に分けられる。上記同様に一部の材料の供給について懸念されている。鯨べっこう細工(鯨ひげ工芸品)は鯨のひげであるエンバ板を加工して装飾品にした物であるが、鯨のひげが褐色である部分が多く、加工すると鼈甲に似た様な味わいを持つので、鯨べっこう細工と呼ばれる。特に鯨のひげを繋がったまま加工して円形に花びらのようにした物を「花おさ」といい縁起物として珍重される。 鯨細工(鯨歯工芸品、鯨骨工芸品)は鯨の骨や歯を加工研磨して古くは根付(ねつけ)や装飾品、刀剣や家具調度品の装飾に使われていた。現在では捕鯨地として知られた各地でおみやげとしてアクセサリーや印鑑などが販売られている。また都心部においても少数ではあるが、鯨細工を宝飾品として加工販売している所がある。 歌舞伎 - 歌舞伎の衣装には袖口や裃などにその形状を保つための骨として、かつては鯨のひげが使われていたが、現在は竹材で代用している。竹材の使用により衣装の傷みが鯨のひげより早いといわれる。 鯨のひげのその他の利用扇子の要 - 古くは鯨のひげが使われていたが、現在ではプラスチックや金属製のものが主流である。 足袋のコハゼ - 古くは鯨のひげが使われていたが、現在では金属製の物が主流である。 釣竿の竿先 - 釣竿の高級品の一部には現在でも非常に稀ではあるが、鯨のひげが使われている。
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