毒性の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 20:28 UTC 版)
ふつう一般毒性と特殊毒性に分類される[要出典]。 一般毒性:明らかな形で(しばしば全身症状として)現れる毒性で、日常的に毒性と言われるのはこれである。次のように分けられる。急性毒性:投与直後から数日以内に発現する毒性である。この急性毒性の強さの尺度として用いられるのは半数致死用量(LD50), または、半数致死濃度(LC50, 吸入毒性の場合)、すなわち同量投与された個体のうち半数が死に至る用量(濃度)である。単位としては普通mg/kg(体重1kg当りの投与mg)あるいは、mg/m3、またはppm(吸入毒性の場合、吸入ガス中濃度)を用いる。毒物・劇物などはLD50を目安に指定されている(毒物及び劇物取締法参照)。投与経路としては経口、経皮(皮膚から吸収される場合)、吸入、各種の注射(医薬品)などがある。投与後の3~4週間以内に発現する毒性は遅発性急性毒性と呼ばれる。 慢性毒性:半年から1年程度の長期間にわたり連続または反復投与されることにより発現する毒性である。また1~3か月程度で発現する毒性を亜急性(または亜慢性)毒性という。 特定の臓器・組織に機能異常または病変が現れる場合には、その臓器・組織の名を冠して「心毒性」「肝毒性」「神経毒性」などと称する。また体内の細胞(または培養細胞)に対する毒性(細胞構造の破壊、細胞死、増殖阻害等)を「細胞毒性」という。 特殊毒性:次のような各種の毒性を含む。刺激性:皮膚や粘膜などに投与された物質によって炎症が引き起こされることをいう。物質自体によって起きる急性的影響を一次刺激性といい、物質によって特異的にアレルギー反応が起こされる場合を感作性という。なお強酸・強アルカリなどのように皮膚や粘膜自体が破壊される場合は腐食性という。 免疫毒性:免疫機能の抑制やアレルギー反応の亢進など。感作性を含めることもある。 発癌性:がんの原因となる性質。 変異原性(遺伝毒性):遺伝子または染色体の異常を起こす性質。変異原性は一般には閾値は無いと考えられている。変異原は発がんイニシエーターにもなる可能性がある。 催奇性(発生毒性):受精、受胎に係る胎児の発達(発生)に対する悪影響。胎児に奇形を起こす性質。 生殖毒性:生殖に対する影響。受精、受胎、出産時等の母体の生殖能あるいは雄親の生殖能に対する悪影響。たとえば内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモンなど)による不妊などの影響が挙げられる。 光毒性:投与後、光に当たった場合に、投与物質が反応して皮膚に影響が現れるものをいう。投与物質自体による急性的影響と、感作性によるものがある。 遅発性神経毒性:末梢神経に対する遅発性の毒性。
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