毒性への誤解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 02:28 UTC 版)
日本では、昭和後期まで緑青は猛毒であると考えられ、一部の教科書や辞書類にも「猛毒である」と書かれていた。 しかしながら、東京大学医学部教授の豊川行平が、1962年(昭和37年)から天然緑青を動物に経口投与する実験を3年がかりで行った結果、「恐ろしい猛毒という知識は間違いで、他の金属と比較して毒性は大差ない」と結論づけた。1974年(昭和49年)に東京大学教授の和田攻助が、塩基性炭酸銅と硫酸銅を用いた同じ実験を再度行った結果、前回の研究結果とほぼ一致し、さらに、成長率・生存率・妊娠・出産に影響する遺伝障害も、一切見当たらないことが確かめられた。 厚生省は、国立衛生試験所の戸部満寿夫を主任とする研究班を1981年(昭和56年)に設置し、緑青の主成分である塩基性炭酸銅についての研究を3年に亘って行った。1984年(昭和59年)8月6日に出された研究報告では、経口投与による半数致死量 (LD50) は1250 - 1495mg/kg、慢性毒性試験では2000ppmを投与した集団で体重増加の抑制や血液中の脂質の減少が見られたのみで、「緑青の主成分である塩基性炭酸銅の毒性は、さほど強いものとは考えられない。」としている。また、1989年(昭和64年/平成元年)に長谷川隆一らが行った急性毒性試験でも、LD50は、雄のラットで1350mg/kg、雌のラットで1495mg/kgという数値が出されている。
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