殖民とは? わかりやすく解説

しょく‐みん【植民/殖民】

読み方:しょくみん

[名](スル)ある国の国民または団体が、本国従属する関係に置かれ地域移住定住して経済活動開拓活動などをすること。また、その移住民

「植民」に似た言葉

植民地

(殖民 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 15:35 UTC 版)

植民地(しょくみんち、殖民地: colony)とは、本国からの移住者によって経済的に開発され(植民・移民)、本国に従属する地域[1][注 1]統治領(とうちりょう)とも呼ばれる。古代ギリシアローマ時代には、新しい地域に移住して形成する社会を意味した[1]


注釈

  1. ^ 18世紀末から20世紀末に至る約200年間に例えば、アメリカ合衆国イギリスから独立したのは1776年であり、仏領ルイジアナをフランスからアメリカが購入したのは1803年である。アルゼンチンパラグアイは1810年代にスペインから独立している。一方、多くのアフリカ諸国は1960年に至るまで植民地として残っていた。西サハラからは1975年にスペインが撤退しているが、2004年現在も独立できていない。グリーンランドフェロー諸島も2018年現在デンマークの自治領である。カメルーンナミビアなど、200年間に宗主国が変化した地域については、ほとんどの場合、最初の宗主国を示した。古代史にはフェニキア古代ギリシアにも見られるが多くは植民元との関係は維持しつつ独立した体制となっており、侵略によって獲得した海外領土の類型は古代ローマに見られる。近年はヴェネチアなどが行った東地中海における植民地経営をそれ以降の植民地支配と連続した流れと考える向きもある。
  2. ^ 古代中国の朝鮮半島での楽浪郡漢四郡(それ以前の箕子朝鮮衛氏朝鮮を含めても考えることができる)の設置、ベトナムでの日南郡交趾郡など南越九郡の設置も一種の植民活動である。
  3. ^ エリック・ウィリアムズジョン・ケネス・ガルブレイスの見解。また世界システム論世界経済の項目を参照。
  4. ^ この例として、明治維新前年1867年にハワイ国総領事を名乗る男が幕府の免状を得、明治元年に日本人を移民させたことをめぐる問題(ハワイ日本人出稼人召還事件)、あるいは「苦力貿易 (coolie trade) 」と呼ばれる人身売買ケースにまつわる外国公使からの各種通報、1872年(明治5年)のマリア・ルス号事件[9]などがある。
  5. ^ 政務のすべては総督に委任の上、内閣総理大臣の監督を受け(台湾総督府官制3条)、あるいは内閣総理大臣を経て天皇に直接上奏すれば良い(朝鮮総督府官制3条)とされたが、実際の実務は拓務省内務省など内地行政機関の依命通牒(直接の権限はないが、上位職の指示命令により通知(アドバイス)する文書)に従うことが多かった。また総督府令により1年以下の懲役もしくは禁錮、拘留、200円以下の罰金または科料の罰を課すことが認められていた(台湾総督府官制5条、朝鮮4条)が、それ以上の罪過あるいは総督府令によらない法令については日本内地の制定法による必要があった。
  6. ^ 「植民地」なる用語への評価としてはたとえば『(植民地の)文字の我国で用ゐられ初めたのは、極めて最近の事で、~中略~明治以前の空気に多く包まれた人の頭には、植民地と云ふ文字が、非常にハイカラな文字になつて響いて居る。隨て、植民地がどうの、植民政策がどうの、拓殖局がどうのといつた所で、虻が鼻の頭を刺した程の感じもない。新領土といふ文字にせよ、其れは二十七八年、三十七八年に於ける、二大戦役の賜物で、此戦役以前、新領土といふ文字は、あまり繰り返されて居ない。何れにしても、植民地といふ文字は、現代人に未だ耳新しい文字である。先ず植民的知識をいへば、其れは北海道開拓の其れであつたらう。北海道開拓は、我日本国民に、植民の意味を、朧気ながらも、先づ敎へた所の鐘の音であるのである』[19]
  7. ^ 韓国紙『朝鮮日報』によれば、「アメリカの世界史の教科書には中国と韓国の間の朝貢秩序を拡大解釈し、韓国を中国の従属国と見なしたり古代日本が韓国から多くの文化的影響と接触を受けたにも関わらず日本が直接中国を通じて文物を伝承したという内容もあった。韓国教育開発院の李讃熙(イ・チャンヒ)博士は『韓国の歴史を主体的に扱っておらず、中国、日本などの歴史叙述のために付随的に挿入されているケースが多い』」と指摘する[24]
  8. ^ ジョン・ロスらの「チェロキー国への州法適用差し止め」訴訟と連邦議会への工作はジャクソン大統領による「大統領にインディアン強制移住の権限を与える法律」制定提案と圧倒的多数による可決をもって報いられた。また裁判所への提訴はチェロキーたちの提訴権の否定(門前払い)によって報いられた。黒人奴隷の裁判提訴権の否定についてはドレッド・スコット対サンフォード事件
  9. ^ 「奴隷解放論者」と「解放奴隷」によって進められた、アメリカ植民協会によるリベリア入植は実にアメリコ・ライベリアンらによる新たな植民地であった。赤狩りによって非合法化されるアメリカ共産党には黒人に主権をという主張もあった。ただし必ずしも黒人の支持があった訳でない。

出典

  1. ^ a b 第2版,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),百科事典マイペディア,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “植民地とは”. コトバンク. 2022年2月17日閲覧。
  2. ^ 三訂版,デジタル大辞泉, 日本大百科全書(ニッポニカ),精選版 日本国語大辞典,旺文社世界史事典. “半植民地とは”. コトバンク. 2022年2月17日閲覧。
  3. ^ 3つの大海に浮かぶフランス海外領土”. jp.france.fr. 2022年9月11日閲覧。
  4. ^  プエルトリコの住民は、米国市民権を持ち米全国への旅行や移住は自由だが、大統領選挙や上下両院議員選挙での選挙権はない。米国大統領がプエルトリコの国家元首とされ、米国が外交、防衛権を持つ。民選で選出されたプエルトリコ自治政府は米国内法と抵触しない範囲での内政自治権を持っている。
  5. ^ プエルトリコにつく「自治領」とは?”. www.jcp.or.jp. 2022年9月11日閲覧。
  6. ^ https://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/pdf_20-3/RitsIILCS_20.3pp.47-55Nishikawa.pdf
  7. ^ Aim'e, C'esaire 著、砂野幸稔 訳『帰郷ノート/植民地主義論』平凡社〈平凡社ライブラリー〉、2004年5月1日。ISBN 4582764983 
  8. ^ 山本真鳥 2002.
  9. ^ 山本忠士 2005.
  10. ^ a b 石村修『植民地法制の形成』(PDF)(レポート)専修大学法科大学院 第6回東アジア法哲学会シンポジウム、2006年3月26日。[リンク切れ]http://www.law.ntu.edu.tw/east-asia2006/EA-Home/PD/%E6%97%A5%E6%9C%AC/2006032608.pdf 
  11. ^ 山本有造 2000, p. 60.
  12. ^ https://www.let.osaka-u.ac.jp/seiyousi/bun45dict/dict-html/00276_CommonwealthofNations.html
  13. ^ 水野直樹 (2002年6月13日). “日本は朝鮮半島を植民地支配し、何をしたのか-戦前”. 2010年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月26日閲覧。
  14. ^ 上杉慎吉『新稿憲法述義』(第四版)有斐閣、1925年8月5日。doi:10.11501/952413国立国会図書館書誌ID:000000567551 
  15. ^ 石村修 2007, p. 181.
  16. ^ 北海道殖民地ニ於ケル道路橋梁排水工事ノ請負随意契約ノ件・御署名原本・明治三十一年・勅令第三十七号”. 国立公文書館デジタルアーカイブ (1898年3月18日). 2020年8月6日閲覧。
  17. ^ 予算外国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ為スヲ要スル件・御署名原本・昭和七年・予算外国庫ノ負担トナルヘキ契約九月三日”. 国立公文書館デジタルアーカイブ (1932年9月3日). 2020年8月6日閲覧。
  18. ^ 万国郵便条約・御署名原本・昭和五年・条約第四号”. 国立公文書館デジタルアーカイブ (1930年6月26日). 2020年8月6日閲覧。
  19. ^ 西村才介 1912, p. 2.
  20. ^ a b 矢内原忠雄 1926, p. 36.
  21. ^ 小熊英二 1998, pp. 142–143.
  22. ^ Columbia University Press (2013年). “Korea”. The Free Dictionary. The Columbia Electronic Encyclopedia®. 2020年8月6日閲覧。
  23. ^ 柳洪烈(監修) 1996, p. 1819.
  24. ^ 梁根晩 (2010年8月10日). “米教科書にも韓国関連誤記多い”. 朝鮮日報. 朝鮮日報. 2002年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月6日閲覧。
  25. ^ 木原隆司 2009, p. 33.
  26. ^ 猪木正道 1967, pp. 7–8.
  27. ^ 施錦芳 2010, p. 29.
  28. ^ 海外食糧基地の確保計画を策定、李明博大統領”. WoW!Korea (2008年4月16日). 2020年8月6日閲覧。


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