極限環境とは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 04:17 UTC 版)
極限環境の条件およびそれらの微生物の一般名、代表種は以下の通りである。 高温:好熱菌 - Methanopyrus kandleri (- 122℃) 高pH:好アルカリ菌 - Alkaliphilus transvaalensis (- pH12.5) 低pH:好酸菌 - Picrophilus oshimae (- pH-0.06) 高NaCl濃度:好塩菌 - Halobacterium salinarum (- 飽和濃度) 有機溶媒:溶媒耐性菌 高圧力:好圧菌 - Pyrococcus yayanosii(- 1200気圧) 放射線:放射線耐性菌 - テルモコックス・ガンマトレランス(英語版)(最大30,000Gyのガンマ線照射に耐える) など 一般に古細菌は膜構造などから極限環境に有利とされ、現在分離されている古細菌はメタン菌(一部好熱菌や好冷菌、好塩菌、高圧菌を含む。それ以外も強い偏性嫌気性菌ではある)を除いて全種が1つ以上の極限環境に適応している。特に高温や強酸には強く、種によっては122℃やpH-0.06で生育できる(低温は-2℃、アルカリ性環境はpH12程度まで)。逆に人間が生活するような環境(好気常温の真水または土壌)で生育できる古細菌は、一部の未記載種を除き発見されていない。真正細菌もその種類の多さ(確認されている種の数は古細菌の20倍以上)から多様な極限環境微生物を含んでいる。また、一部の菌類や藻類も高温や強酸、高NaCl濃度に耐えることができ、これも極限環境微生物と言える。 これらの微生物の保持する酵素をイクストリーモザイム (Extremozymes) と呼称する。イクストリーモザイムはその多くが工業利用を期待されており、実際に洗剤などに応用されている例もある。また、ここでは酸素分圧、貧栄養に関する問題も取り上げる。
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