極限的ライスナー・ノルドシュトロム解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 09:31 UTC 版)
「ワイル計量」の記事における「極限的ライスナー・ノルドシュトロム解」の解説
次のようなワイルポテンシャルにより、極限的ライスナー・ノルドシュトロム解 (M = |Q|) が式(7)の解として得られる(極限的解を別個に扱うのは、これが非極限的解の縮退したもの以上の大きな意味を持つからである)。 ψ E R N = 1 2 ln L 2 ( L + M ) 2 , γ E R N = 0 , with L = ρ 2 + z 2 {\displaystyle \psi _{ERN}={\frac {1}{2}}\ln {\frac {L^{2}}{(L+M)^{2}}}\,,\quad \gamma _{ERN}=0\,,\quad {\text{with}}\quad L={\sqrt {\rho ^{2}+z^{2}}}} (22) したがって、極限的ライスナー・ノルドシュトロム解は以下のように書ける。 d s 2 = − L 2 ( L + M ) 2 d t 2 + ( L + M ) 2 L 2 ( d ρ 2 + d z 2 + ρ 2 d ϕ 2 ) {\displaystyle \mathrm {d} s^{2}=-{\frac {L^{2}}{(L+M)^{2}}}\mathrm {d} t^{2}+{\frac {(L+M)^{2}}{L^{2}}}(\mathrm {d} \rho ^{2}+\mathrm {d} z^{2}+\rho ^{2}\mathrm {d} \phi ^{2})} (23) また、次を代入すると、 L + M = r , z = L cos θ , ρ = L sin θ {\displaystyle L+M=r\,,\quad z=L\cos \theta \,,\quad \rho =L\sin \theta } (24) 以下のように通常の {t, r, θ, φ} 座標による極限的ライスナー・ノルドシュトロム計量を得る。 d s 2 = − ( 1 − M r ) 2 d t 2 + ( 1 − M r ) − 2 d r 2 + r 2 d θ 2 + r 2 sin 2 θ d ϕ 2 {\displaystyle \mathrm {d} s^{2}=-{\Big (}1-{\frac {M}{r}}{\Big )}^{2}\mathrm {d} t^{2}+{\Big (}1-{\frac {M}{r}}{\Big )}^{-2}\mathrm {d} r^{2}+r^{2}\mathrm {d} \theta ^{2}+r^{2}\sin ^{2}\theta \,\mathrm {d} \phi ^{2}} (25) 数学的には、極限的ライスナー・ノルドシュトロム計量は対応する非極限的ライスナー・ノルドシュトロム計量において Q → M の極限をとり、ロピタルの定理を用いれば得られる。 備考: 式(1)のワイル計量において(極限的ライスナー・ノルドシュトロム計量のように)γ(ρ, z) を零とすると ψ(ρ, z) という一つの計量ポテンシャルのみによって決定される特別な下位分類が得られる。この下位分類を軸対称という制限を外して拡張することにより(ただし依然ワイル座標が用いられる)、別の有用な分類が得られる。これを「共形静的 (conformastatic)」計量と呼ぶ。 d s 2 = − e 2 λ ( ρ , z , ϕ ) d t 2 + e − 2 λ ( ρ , z , ϕ ) ( d ρ 2 + d z 2 + ρ 2 d ϕ 2 ) {\displaystyle \mathrm {d} s^{2}\,=-e^{2\lambda (\rho ,z,\phi )}\mathrm {d} t^{2}+e^{-2\lambda (\rho ,z,\phi )}{\Big (}\mathrm {d} \rho ^{2}+\mathrm {d} z^{2}+\rho ^{2}\mathrm {d} \phi ^{2}{\Big )}} (26) ここで、λ を ψ のかわりに用いた。 これは対称性が異る(φ-依存性がある)ことを強調するためである。
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