自動運転の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 07:10 UTC 版)
この節では公的機関から発表された自動化レベルの定義のみに関する節である(開発予定、開発目標、販売予定などの情報は後述) 日本政府やアメリカ運輸省道路交通安全局 (NHTSA) では自動化のレベルを以下のように定義している。 レベル0 ドライバーが常にすべての主制御系統(加速、操舵、制動)の操作を行う。前方衝突警告 (FCW)などの主制御系統を操作しない運転支援システムもレベル0に含む。 レベル1(運転支援) 加速、操舵、制動のいずれか単一をシステムが支援的に行う状態。衝突被害軽減ブレーキなどの安全運転支援システムによる。 レベル2(部分自動運転) システムがドライビング環境を観測しながら、加速、操舵、制動のうち同時に複数の操作をシステムが行う状態。アダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)等がこれに該当する。ドライバーは常時、運転状況を監視操作する必要がある。 レベル3(条件付自動運転) 限定的な環境下若しくは交通状況で、原則として自動運転システムが全ての操作(加速、操舵、制動)を行い、運転者は一切の操作をしない。ただし、自動運転プログラムの機能限界時などには、ドライバーに操作権限が移譲され、その場合には運転者が自ら運転操作を行うことが前提とされている。通常時、ドライバーは運転から解放されるシステムである。ただし緊急時やシステムが扱いきれない状況下では、システムからの運転操作を委譲したいとの要請にドライバーは応じる必要がある。日本では、2020年4月から道路交通法の改正により自動運転レベル3(条件付自動運転)対応車の自動運転による公道走行が高速道路など一定条件下で許可された。この許可によって同時に、レベル3自動運転ではドライバーに「セカンドタスク」が法的に許されることになった(運転以外の行為,たとえば「テレビを見る」「スマホを操作する」などの行為が法的に認められた)。 レベル3の自動運転車の事故における過失責任(の割合)については、場合分け をして考える必要があり、通常の場合、つまり「システムが操作権限を人間に委譲しなかった場合」は、原則としてドライバーの過失は認められなくなると考えられる(権限委譲要請が無かった場合はドライバーに過失は無いと考えられるので、基本的には、ドライバー以外の者たちの中で、つまりシステムを開発・販売したメーカーや事故相手などの中での過失責任割合が裁判所で判断される、ということになる)。一方、例外的な場合、つまり「システムが人間に操作権限委譲を要請した場合」に起きた事故については、さらに2つの場合に分けて考える必要があり、つまり「(権限委譲要請があったが)ドライバーが運転せずに事故が起きた場合」と「(権限委譲要請に応じて)ドライバーが運転して事故が起きた場合」に場合分けして判断する必要がある。システムが権限委譲の要請を出したタイミングが妥当だったのかどうかも考慮の対象となるし、そもそも突然権限委譲がなされた時点でドライバーに事故を回避可能な状況だったのか、ということも考慮されるであろうし(そもそもベストをつくしても事故回避できない状況ならドライバーに過失責任は無い)、ドライバーが居眠りをしていたかいなかったか、なども考慮に入れられる可能性があり、いずれにせよ事故にいたる前のさまざまな状況や周囲のさまざまな状況などを総合的に考慮して、過失割合(システム製造者=自動車メーカー、ドライバー、事故相手、その他などの過失割合)が判断されることになる。 レベル4(高度自動運転) 特定の状況下のみ(例えば高速道路上のみ、又は極限環境以外(極限環境とは、雷雨、大雨、大雪、あられ、台風、極低温環境、超高温環境といったシステムの正常な動作を妨害するような環境のこと)などの決まった条件内でのみ)、加速、操舵、制動といった操作を全てシステムが行い、その条件が続く限りドライバーが全く関与しない状態。基本的にドライバーが操作をオーバーライドする必要は無いが、前述の特定の状況下を離れると人間の運転が必要になる。 レベル5(完全自動運転) 無人運転。考え得る全ての状況下及び、極限環境での運転をシステムに任せる状態。ドライバーの乗車も、ドライバーの操作のオーバーライドも必要ない。安全に関わる運転操作と周辺監視をすべてシステムに委ねる。
※この「自動運転の定義」の解説は、「自動運転車」の解説の一部です。
「自動運転の定義」を含む「自動運転車」の記事については、「自動運転車」の概要を参照ください。
- 自動運転の定義のページへのリンク