日本最古の気象台
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/20 02:36 UTC 版)
綾部神社では毎年7月15日に謹請風神御祈祷守護之璽(きんせいふうじんごきとうしゅごのじ)と書かれた幅1尺、長さ1尺2寸の麻で織った神旗を長さ18メートルの真竹に結び付け、締め込み姿の3名の神旗人(かみはたびと)と呼ばれる男衆によって神社境内のイチョウに高さ30メートルになるよう掲げられる。旗上げから5日後には台風の襲来、農作物の作柄などを宮司が予想する。また、旗下ろしは秋分の日の翌日に行われ、神旗をイチョウから下ろして旗の巻き具合などを観察し、予想の結果の確認を行う。このように旗の巻き具合によってその年の吉凶を占う風占行事は、県内はもとより全国でも他に類例を見ないもので、2017年(平成29年)には県重要無形民俗文化財に指定されている。 神事の由来は神社創建より古く、社伝によれば天暦5年(951年)に綾部では台風や大雨など天候不順に見舞われ、疫病や飢饉が広がったため、脊振千坊に住む隆信(りゅうしん)沙門という僧が50日間で法華経1万部を読誦する発願をし、また里人に「もし私が途中で死んだら私を風の神様として祀ってください。そうすればきっと皆さまをお救いします」と告げて風神信仰があった九千部山(石谷山とも)に入った。50日後、里人が山に入ると隆信は9千部で力尽き息絶えていた。そのため里人はその徳を称え、風神二柱(級長津彦神、級長戸辺神)と隆信沙門を祀った。それ以来山頂に神旗を掲げ豊作などを祈ったのが始まりとされている。後に神旗は綾部神社の御神木であるイチョウの木に移され、また天気を予知する便りともしたものである。また、神社にある1701年(元禄14年)建立の鳥居に、「旗が巻いて、風の具合を知らせる。旗が開いて、神の下す幸である豊穣を示す。一尺二寸其の旗を高く掲げる」という意味の銘も残っている。なお、この故事は九千部山の名称の由来でもある。
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