抗菌薬の副作用と疾病との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 04:58 UTC 版)
「抗菌薬」の記事における「抗菌薬の副作用と疾病との関連」の解説
細菌による感染症の治療において、抗菌薬は病原性の細菌を殺したり増殖を抑えたりすることを期待して用いられるが、時に投与を受けた者に対して、危害を与える場合もある。ほとんどの抗菌薬が経口投与により下痢を引き起こし得るように普遍的な副作用もあるが、抗菌薬によっては固有の副作用を生じる場合がある。しばしば抗菌薬の使用による副作用はアレルギーと同義的に扱われるが、アレルギー反応は抗菌薬による副作用の一部に過ぎない。抗菌薬による副作用は直接的なものと間接的なものに分けられる。 アレルギー反応は抗菌薬の使用による直接的な副作用の代表である。IgE依存的な即時型アレルギー反応と、細胞性免疫による遅延型アレルギー反応の両者が生じ得るが、特に重篤となるのは即時型アレルギー反応によるアナフィラキシーショックである。2008年にアメリカ合衆国で行われた調査によれば、薬剤の有害事象による救急外来の受診のうち19%が抗生物質と関係しており、その内79%がアレルギー反応に分類された。 抗菌薬の毒性による副作用も直接的なものであり、投与された抗菌薬の量が多かったり、投与期間が長かったりする際に生じる。特に腎臓や肝臓の機能低下が生じた結果、抗菌薬のクリアランスに支障が生じている患者の治療で使用する際に注意が必要である。軽度の副作用としてはテトラサイクリン系による歯の黄染、エリスロマイシンによる消化管の蠕動充進、リファンピシンによる色素沈着などが知られる。より重篤な副作用としてはアミノグリコシド系などによる回復不能な聴覚障害、フルオロキノロンによる関節毒性と網膜症、メトリニダゾールやリネゾリドによる末梢神経障害、リネゾリドによる乳酸アシドーシスやセロトニン症候群などがある。 間接的な副作用は細菌叢に及ぼす影響で発生した菌交代によって発生し、クロストリジウム・ディフィシルによる腸炎に代表され、他にも外陰膣カンジダ症との関連が知られる。
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