慢性ミエロパチー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 08:51 UTC 版)
脊髄症性ミエロパチー 脊髄症性ミエロパチーは慢性の脊髄圧迫と高齢者の歩行困難の最も多い原因のひとつである。こわばり感を伴う頸部や肩の疼痛が初期症状である。 脊髄と硬膜の血管奇形 脊髄とそれを覆う硬膜の血管奇形は治療可能な進行性ミエロパチーを生じる。最もよく見られるのは動静脈瘻で脊髄の後面にそって生じる。 レトロウイルス関連ミエロパチー HTLV-I関連脊髄症が有名である。HTLV-I関連脊髄症は様々な程度の感覚及び膀胱直腸障害を伴う緩徐進行性の痙性症候群である。HIV感染の結果でも進行性のミエロパチーが起こる。 脊髄空洞症 脊髄空洞症は頚髄に発達性の空洞が見られるものであり、増大傾向があり進行性のミエロパチーを生じる。 多発性硬化症 慢性進行性のミエロパチーは一次性進行型および二次性進行型の多発性硬化症において身体障害を生じる最も頻度の高い原因である。脊髄病変と感覚障害の対応は46.4%で対応があり、14.2%はおそらく対応するとしながらも全体として画像上のプラークと症候を結びつけるとは困難とUldryらは報告している。特に感覚障害の分布がポリニューロパチーのパターンをとる偽多発神経炎型の存在も知られており末梢神経障害も鑑別にあがる。背部痛や有痛性強直性痙攣(painful tonic spasm)の発作があらわれることある。 亜急性連合変性症(ビタミンB12欠乏症) 亜急性連合変性症は治療可能なミエロパチーであり手足の亜急性の異常感覚、振動覚、位置覚の消失、進行性の痙性および失透性の脱力を生じる。合併する末梢性ニューロパチーにより四肢腱反射が消失しているにもかかわらずバビンスキー徴候が陽性の場合は重要な診断の手がかりとなる。 低銅性ミエロパチー 低銅性ミエロパチーは亜急性連合変性症とほぼ同一である。おそらく以前に血清ビタミンB12濃度が正常と報告された亜急性連合変性症の多くは銅欠乏によるものであろう。 脊髄癆 脊髄癆や脊髄の髄膜血管梅毒の典型的な症候群は以前よりは頻度が少なくなっているが脊髄疾患の鑑別においては考慮しなくてはならない。 家族性痙性対麻痺 緩徐進行性のミエロパチーの多くは遺伝背的におこる。常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖性の病型を含め20以上の原因遺伝子座が同定される。 副腎脊髄ニューロパチー 副腎脊髄ニューロパチーはX連鎖性疾患である副腎白質ジストロフィーの異型である。
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