感色性別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 16:52 UTC 版)
主にモノクロフィルム。 レギュラー・クロマチック 青紫 - 青色光の波長にのみ感光するフィルム。主に製版用フィルム。 オルソ・クロマチック 青紫-黄色光の波長にのみ感光するフィルム。かつてはポートレート用に盛んに使用された。コダックのヴェリクロームが代表的なフィルムである。 パン・クロマチック 全整色性フィルム、青紫 - 赤色光の可視光線全域の波長に感光するフィルム。現在のモノクロフィルムはほとんどがこのタイプである。 スーパーパン・クロマチック 可視光線全域の波長、さらには一部の赤外線領域にまで感光するフィルム。 赤外線フィルム 赤外域に感度をもつモノクロフィルムとカラーリバーサルフィルム(両方ともコダックから発売)。科学記録や不可視環境撮影(夜間監視など)で使用される。肉眼(可視光)と異なる独特の画像が得られるので、芸術目的の風景写真などにも使われる。詳細は赤外線フィルムを参照。 放射線用フィルム 放射線によって感光するフィルム。主に医療や産業で利用。広義にはエックス線用フィルムもここに含まれるが、通常はガンマ線を使った撮影に使用されるフィルムを言う。そのほか、電離放射線を検出する感光材料という意味では、核物理学や天文学の分野では原子核乾板と呼ばれる写真乾板がなお主流である。 エックス線用フィルム 医療用に用いられるエックス線フィルムは、X線を吸収して蛍光を放つ増感紙(スクリーン)と組み合わせて使用されるスクリーンタイプが一般的であった。患者を通過したエックス線は増感紙を発光させ、フィルムは増感紙の蛍光により感光する。フィルムの分光感度特性は増感紙の発する蛍光に対応しており、レギュラータイプの増感紙にはレギュラー・クロマチックタイプの乳剤を使用したフィルム、オルソタイプの増感紙にはオルソ・クロマチックタイプの乳剤を使用したフィルムを組み合わせるのが最適である。多くの用途では感度を稼ぐ(すなわち患者の被曝量を低減させる)ために、フィルムの表裏両面に乳剤が塗布されている両面乳剤フィルムが用いられた。この場合、増感紙は二枚使われ、フィルムを両面から挟み込む。 特にX線で直接感光させるフィルムをノンスクリーンタイプエックス線フィルムと呼ぶ。この種のフィルムは感光効率が低く、高いX線輝度を必要とするため、歯科など特定分野に限って使用された。 医療用途では、さらに高感度が望めること、現像処理に要する時間が不要なこと、現像液等の排液が出ないこと、電子カルテと相性が良く保存が確実でスペースをとらないことから、急激にフィルムからデジタル機器への置き換えが進行していて、撮影された画像は電子カルテのモニターで見るのが一般的になりつつある。フィルムとしての実体が必要な場合はレーザープリンター様の専用プリンターで専用のフィルム(当然のことながら乳剤は塗布されていない)に印刷する。 なお、大半の写真フィルムはX線で感光する。そのため、空港での手荷物検査時にフィルムがX線かぶりを起こすことがある。
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