悪心・嘔吐の治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 14:48 UTC 版)
基本的には心筋梗塞ではPCIといった原因療法を行う。対症療法としては制吐薬、グリセオールといった脳圧降下薬、胃内容物の除去としてNGチューブの挿入などが行われる。制吐薬としては消化器疾患が疑われた場合はドパミン拮抗薬や抗コリン薬が用いられる。ドパミン拮抗薬としてはメトクロプラミド(プリンペラン)、ドンペリドン(ナウゼリン)などがよく用いられる。これは消化管蠕動運動を亢進させることで内容物が通過することで嘔気が軽減する。静注、筋注、坐薬、経口といった各種薬剤が市販されている。点滴静注では即効性がないことが知られている。心窩部の不快感ではなく腹痛が認められるときは蠕動の亢進で症状が悪化することがあり注意が必要である。この場合は抗コリン薬であるブチルスコポラミン(ブスコパン)が好まれる傾向がある。抗コリン薬は腸管蠕動を抑制することで悪心、嘔吐を軽減する作用がある。胆管や尿管にも同様に作用する。また内視鏡的に潰瘍、炎症所見が認められない機能性ディスペプシアの場合はセロトニン5-HT4受容体刺激薬であるモサプリド(ガスモチン)がよく用いられる。 また制吐薬に分類されるドパミン拮抗薬はスルピリド(ドグマチール)を除き中枢神経作用はほとんどないとされているが稀に錐体外路症状が出現することがある。振戦、無動、固縮といったパーキンソン症候群のかたちをとることが多く、この場合は抗コリン薬であるビペリデン(アキネトン)などがよく用いられる。また胃潰瘍やGERDによる悪心、嘔吐に関してはH2ブロッカーやPPIが用いられる。そのほか、種種の原因でおこる悪心、嘔吐に対する制吐薬を以下にまとめる。 疾患分類用いる制吐薬片頭痛 5-HT1B/1D受容体作動薬 前庭系・心因性 抗ヒスタミン薬+抗不安薬 機能性ディスペプシア 5-HT4受容体作動薬 便秘 瀉下薬 抗がん剤によるacute emesis 5-HT3受容体拮抗薬やステロイド 治療に反応しなかった場合は経口摂取不可能であることが多く入院の適応となる。治療薬の変更よりも原因疾患の再検索重要となる場合が多い。
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