形態形成と数理生物学に関する仕事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 04:54 UTC 版)
「アラン・チューリング」の記事における「形態形成と数理生物学に関する仕事」の解説
1952年から、亡くなる1954年まで数理生物学、特に多細胞生物の個体発生における形態形成に関する研究を行い、それがどのように生じるかについて仮説を提唱した。1952年に発表した “The Chemical Basis of Morphogenesis” (形態形成の化学的基礎)と題する論文において、反応拡散系と呼ばれる偏微分方程式系で反応を抑制する因子の拡散が活性化因子よりも速いとき、チューリング不安定性と呼ばれる不安定化を起こして形態形成の手がかりとなる空間構造を生み出しうることを指摘した。こうして生じる空間パターンはチューリング・パターンと呼ばれている。この論文の最終節においてチューリングは、容易に解析できないこの種のさらに複雑な問題への将来的なデジタルコンピューターの利用について触れている。実際、20世紀末よりコンピューターの計算能力の急速な発達によって、反応拡散系の研究の発展がもたらされた。 また同じ年、ヒマワリの種にみられる螺旋構造が隣接するフィボナッチ数に従っているらしいことを未発表の研究ノートに記していた。葉序構造など種々の植物に見られるこの関係は黄金角と呼ばれる角度で葉や種のもととなる原基が生ずればよいことがわかっている。その後の論文は 1992年の Collected Works of A.M. Turing の出版まで未発表だった。近年再評価が著しい仕事である。
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