形態安定コットン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 05:51 UTC 版)
「ルース・ベネリト」の記事における「形態安定コットン」の解説
ベネリトは、綿製造における一塩基酸塩化物の使用に関する研究で最も有名であり、55件の特許を取得している。 それまでの綿製品の衣服にアイロンをかけるのには、かなりの時間を必要としていた。ベネリトは、1950年代にUSDAにて、綿の表面を化学的に処理する方法を開発し、しわになりにくく、汚れにも強く、難燃性の生地である形態安定コットンを開発した。本発明は「綿産業を救った」と言われた。 綿はセルロースと呼ばれる素材で構成されているが、合成ナイロンやポリエステル繊維と同様にセルロースはポリマーである。その分子は何千もの原子を含む長鎖のような形をしている。分子の長い鎖状の形状が、ナイロンやポリエステルのようなセルロースを優れた繊維にしている。ベネリトは、鎖状のセルロース分子が化学的に結合するように綿繊維を処理する方法を開発した。彼女の成功の秘密は、セルロース鎖に化学的に付着して表面を滑らかにする添加剤を発見することであった。 当初、架橋は繊維を強化することで綿生地がしわになりにくいと考えられていたが、ベネリトの処理に使用される架橋の量は少なく、あまり強度がなかった。彼女は、架橋がどのように機能するかについての新しい理論を開発した。セルロース分子は、分子間の弱い水素結合によって互いにくっつくことができることが知られている。彼女は、架橋プロセスの1つの副作用は水素結合の強化であり、これにより材料がしわになりにくいと提案した。[6]ベネリトは壊れやすい繊維のセルロースのつながりを強化するために、長いセルロースを架橋して短い結合にする実験を行い、セルロース鎖に化学的に結合する添加剤ではなく、セルロース鎖の表面を滑らかにする添加剤を開発した。その結果、洗濯して乾燥させると架橋が長いセルロースの鎖を適切な位置で支えることができるようになり、布地が平らに整えられる形態安定コットンの開発に成功した。
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