序列と職務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 20:04 UTC 版)
「助監督 (映画スタッフ)」の記事における「序列と職務」の解説
一般に助監督にはチーフ、セカンド、サード、フォースなどの序列がある。各助監督は、映画監督とは全く異なる職種である。往年の映画会社においては、助監督で修行を積むことが監督へのほぼ唯一の道であったが(会社の方針によって助監督の経験がない者に監督をさせようとしたら、石原慎太郎や大林宣彦のように助監督が反対することが多かった)、現在では監督になる意志のないフリーの助監督も存在する。 他方、監督の代行として演技を指示したり、別班を指揮して一部のシーンを撮影する場合がある。その者には「監督補佐(監督補)」などの助監督とは異なる役職が与えられる(黒澤明の『夢』における本多猪四郎など)。「B班監督」などと呼称される場合もある。 チーフ チーフ助監督(以下、特に「助監督」の記載は省略する)は、主に撮影や準備などの全体のスケジュールを担当する。さまざまな段取りや調整が必要になるため、常に現場に居るとは限らない。そのため、撮影所システム全盛期の映画界では、現場の補佐役であるセカンドをなるべく長く勤め、チーフを短期間で通過するようなキャリアが最も修行になると言われていた。また各部署とのトップとやりとりをすることも多く、打ち合わせの際などは進行役を務めることが多い。監督に指名されて呼ばれることが多いが、制作会社やプロデューサーから呼ばれることも多い。 セカンド セカンドが責任を持つのは、衣裳・メイクとのやり取りの担当と、現場の進行である。現場のスタッフの動きや俳優部の動きをしっかり確認し、現場を見渡す力が求められる。また、映画の進行上重要でない端役やエキストラに対する演技指示も行う。よって、撮影現場で忙しく飛び回っているのは、チーフではなくセカンドか次のサードである。セカンド以下の助監督はチーフから呼ばれて仕事を受けることが多い(サード以下はセカンドに呼ばれることもある)。現場を統括する補佐役であり、監督修行としてはもっとも重要なキャリアと言われる。日活の長谷部安春のように、チーフを省略して監督昇進した例もある。 なお、松竹の現場においては、セカンドがスクリプターを担当するのが伝統となっている。同社から助監督を多く引き抜いて制作開始した日活においてもこの伝統は一時継承された。 サード サードは主に美術・装飾や小道具などとのやり取りを担当する。劇中でつくられる様々なものの文字情報はこのサードが考えていることが多い。大人数のエキストラを使う現場ではセカンドの指示のもと、一緒に演出に及ぶこともある。また劇中で登場する写真などの演出・撮影をスチールカメラマンの協力のもとに行う。 フォース フォースは主にサードの助手的仕事内容となる。また、撮影開始のカチンコを叩くのもサード又はフォースの仕事となっている。なお、劇中に登場する動物は多くは制作部の扱いになるが、フォース以下の助監督が管理する場合もある。これは、出演のタイミングの管理であり、非登場時の世話は含まれない。
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