小林と上杉聰による裁判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 09:07 UTC 版)
「ゴーマニズム宣言」の記事における「小林と上杉聰による裁判」の解説
「脱ゴーマニズム宣言事件」も参照 上杉聰が執筆した『脱ゴーマニズム宣言』の題名で出版された「ゴー宣」批判本において、作品内の絵を大量に「無断引用」されたとして、小林は著作権法違反および不正競争行為(小林の著書と誤認させる恐れがあると主張)として民事訴訟を起こした。小林によれば、自分自身への批判は問題ではなく自分の絵を許可なく使用されたことを問題視して訴訟へ踏み切った。 一審は上杉のほぼ全面勝訴となったが、それについて小林は「悪質で一方的なこじつけ裁判だ」と語っている。二審では、必要以上に改変されているとして一箇所の著作権侵害を認めたが、引用自体の差し止めなどは棄却となった(墨塗りも止むを得ない改変であり、合法との判断)。全体的に上杉寄りの判決自体には少なからず不満を示すも出版差し止め自体は認められた事で「最初から出版差し止めが要求であり、目的は果たされた」と表明。その後、上杉のみ上告したが、棄却され出版差し止めを認めた高裁判決が確定する。 前記の著作権裁判の高裁判決後、上杉は小林に対して名誉毀損(作中で『ドロボー』呼ばわりされた事なども加えて)を理由に民事訴訟を起こしたが、二転三転の末に最高裁で小林側の勝訴が確定した。判決は、「本件漫画(小林の『ゴーマニズム宣言』)においては、被上告人(上杉)の主張を正確に引用した上で、本件採録の違法性の有無が裁判所において判断されるべき問題である旨を記載していること、他方、被上告人(上杉)は、上告人小林を被上告人著作中で厳しく批判しており、その中には、上告人小林をひぼうし、やゆするような表現が多数見られることなどの諸点に照らすと、上告人小林がした本件各表現は、被上告人著作中の被上告人(上杉)の意見に対する反論等として、意見ないし論評の域を逸脱したものということはできない。」とあり、上杉の『脱ゴーマニズム宣言』で数多くの誹謗が行われていることから、主張を正確に引用し反論した小林の行為は、「論評の域を超えるものではない」とされ、小林勝訴となった。 なお、上杉は『脱ゴー宣』で引用した小林の絵の中で、「醜く描かれた人物をそのままで引用したのでは、引用した書物も名誉毀損になる可能性がある」としてそれらの人物描写の一部に墨塗りを行った。小林は墨塗りを改竄と批判したが、上杉は「これ以上自分自身を醜く描けば名誉毀損で訴える」と宣言。これに対して、小林は上杉を全てベタ塗りで描くようになった。
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