完成前に作曲家が死亡したもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/21 08:49 UTC 版)
「未完成の音楽作品」の記事における「完成前に作曲家が死亡したもの」の解説
上の分類法においてここに分類されると考えられる作品としては、以下のものが挙げられる。 モーツァルト:レクイエム - 「涙の日」(ラクリモーサ)の8小節目まで書いて死去した。 ベートーヴェン:交響曲第10番変ホ長調 シューベルト:交響曲ニ長調D 936A - 「交響曲第9番」もしくは「交響曲第10番(上記の第7番を含めた場合)」とも呼ばれる。ルチアーノ・ベリオによる創意的な改作『レンダリング』およびニューボールトなど幾人かの補筆完成版が知られる。 ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 - 通常の演奏会では第3楽章までが演奏される。第4楽章を補筆完成した幾つかの版がある。 マーラー:交響曲第10番嬰ヘ長調 ヨハン・シュトラウス2世:『灰かぶり姫(ドイツ語版)』 - マーラーから委嘱された、ウィーン宮廷歌劇場で上演するためのバレエ。全3幕のうち、第1幕のみ完成。第2幕、第3幕はスケッチのみ。作曲者の没後、ヨーゼフ・バイヤーによって一応は完成されたが、もはやシュトラウスの作品ではないと見なしたマーラーは上演を拒絶した。 ボロディン:交響曲第3番イ短調 エルガー:交響曲第3番ハ短調 黛敏郎:『パッサカリア』 - オーケストラ・アンサンブル金沢による委嘱作品。作曲者没により未完となったが、書き上げた部分までを岩城宏之指揮同オーケストラが録音した。 武満徹:『ミロの彫刻のように』 - フルート、ハープとオーケストラのための協奏曲。冒頭数ページの草稿のみ。 八村義夫:『ラ・フォリア』 - 作曲者没により未完。書き上げた部分までが現在演奏される。 シュトックハウゼン:『時間 Klang』 - 上演に7日を要するオペラ『光』を完成させた作曲家が最後のライフワークとして取り組んだ作品で、1日24時間を1時間ごとに区切って作曲したもの。21時間目まで完成したが、作曲者没により残りは未完。 ブルックナーの交響曲第9番は、音楽的にほとんど完成しているとみなすことが可能である。すると、ベートーヴェン、ブルックナー、マーラーなど、交響曲の大家とされる作曲家たちは、みな交響曲第9番を完成させたすぐ後に死んでいる、と捉えることもできる。このため、特にブルックナーやベートーヴェンの死を目の当たりにしたマーラーは晩年、交響曲第9番を書くことを非常に恐れていたと伝えられている(第九の呪い)。たまに評論家たちがドヴォルザークをこの範疇に入れることがあるが、それは誤りである。なぜならドヴォルザークの生前、最後の交響曲ホ短調「新世界より」は、出版社の都合で第5番として出版されたためである(作曲者の死後、9曲の交響曲全てに番号が作曲順に付け直された)。上記のいずれも何らかの形で補筆完成され、楽譜の出版や演奏、録音が行われている。 なお、この「第九の呪い」のジンクスは、20世紀のソ連の作曲家ショスタコーヴィチが交響曲を15曲作曲したことによって破られたといわれるが、実際にはショスタコーヴィチ以前にラフやブライアン、ミヨー、ミャスコフスキーらが第10番以降の交響曲を作曲している。また、メンデルスゾーンは番号付きの5つの交響曲とは別に、13曲の「弦楽のための交響曲」を作曲している。
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