外形標準課税
がいけい‐ひょうじゅんかぜい〔グワイケイヘウジユンクワゼイ〕【外形標準課税】
外形標準課税(がいけいひょうじゅんかぜい)
東京都では2000年度から、資金量が5兆円以上の大手銀行を対象として、法人事業税に外形標準課税方式を導入することになった。大阪府も、東京都と同様の条例を制定し、2001年度から外形標準課税に踏み切る。
法人事業税は、地方自治体(都道府県)の税収のうちの一つである。通常は、事業活動に伴う利益全体を示す業務粗利益から人件費などの必要経費を差し引いた当期純利益に対して課税する。すなわち、企業は当期純利益の何%かを法人事業税として都道府県に納める。赤字企業については、当期純利益がマイナスとなるため、業務粗利益がプラスであっても税の徴収は行われない。この方式を所得標準課税と呼んでいる。
「所得標準課税」に対して、「外形標準課税」では業務粗利益を課税対象にする。つまり、当期純利益が赤字であっても、業務粗利益の額に応じて課税されることになる。事業活動の規模に比例して、道路や警察などの行政サービスを受けていることが課税の根拠とされている。景気の変動によって大きく増減する所得標準課税方式に比べると、安定した税収を確保できることが大きなメリットである。
法律的な根拠は、地方税法(第72条の19)によって定められている課税標準の特例規定である。この特例規定では、法人事業税の課税方式を企業の所得ではなく、資本金・売上高や従業員数などの外形的に分かるものに代えてもよいことになっている。地方自治体は、条例の制定によってこの規定を適用することができる。
東京都の場合、日本銀行を含む主要20銀行の法人事業税は、1985年度の約2100億円から減少を続け、1999年度には34億円までに落ち込んでいる。これは、バブル期に発生した不良債権を処理することにより、決算が赤字または赤字すれすれになっていることが大きな理由であると言われている。
大阪府の場合、法人事業税に外形標準課税を導入することによって、税収は年間374億円の増加を見込んでいる。しかし、国から地方交付税交付金を受け取っている大阪府は、交付金がおよそ300億円減額されることになり、実質的な増収は74億円程度になる見込みである。
2000年4月に地方分権一括法が施行され、法律で全国一律に定められている普通税・目的税以外に、地方自治体が独自に課税することが可能になった。今後、地方の特性に合った独自課税を行う自治体が増えるのではないかと予想される。
(2000.02.11更新)
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