地震危険度評価の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 17:29 UTC 版)
「地震危険度」の記事における「地震危険度評価の問題点」の解説
地震危険度の評価は、計器観測記録が残る19世紀終盤以降のデータだけでは足りず、長期間のデータが必要である。地震の見落としや過大評価があるとそれが誤差となって現れるため、データの不完全さという問題が付きまとう。また、確率が低いからと言って地震が起こらない訳ではない。確率や期待される最大震度が低いからと言っても、大地震が起きた時の被害が小さい訳ではなく、起きてしまえば甚大な被害が出ることに変わりはない。 そして、確率的長期評価に対する否定的な見解もあり、「確率の大小が地震防災の優先度を左右してしまう」という批判や、「確率の高い地域では危機意識の高まりにつながる一方で、低い地域では安心につながる場合があり、想定されていない断層で大地震が発生する場合もあるのだから、確率が低いからといって安心できるわけではない」という指摘、確率を取り上げるのではなく「いつどこで大地震が起きてもおかしくない」というようにランダム性を強調すべきという指摘もある。 2011年に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は評価において全く想定されておらず、地震危険度評価に対しても疑問を投げかけた。同じ領域で同じ規模の地震が繰り返し発生するという仮定に依存していた従来の評価を一部見直して連動型地震のような低頻度のものを評価できるようにし、津波堆積物調査や地殻変動観測の成果を積極的に取り入れることとされた。これにより、2011年以降は「全国を概観した地震動予測地図」の更新が休止されている。
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