地球上の塩素の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/28 06:07 UTC 版)
地球上において、92ある天然元素のうち18番目に多く存在し、鉱物やイオン、気体などとしてマントルに99.6パーセント、地殻に0.3パーセント、海水に0.1パーセントが保有されている。 マントル - アルステア・キャメロンによる隕石の分析で、ケイ素原子10000個に対し塩素原子190個が含まれていると考えられていることから、地球の質量約6000 Ygに対し22 Yg (22×1024 g)の塩素が存在すると推測される。 地殻 - 塩素が地殻の総重量の0.19パーセントを占めると考えられていることから、約60 Zg(60×1021 g)の塩素が地殻に存在すると推測される。火山噴火により毎年0.4–11 Tg((0.4–11)×1012 g)の塩素がおもに塩化水素の形で対流圏に放出され、その大部分が地表や海洋に降下する。 海水 - 約1.36×108 km3の海水の総量のうち、平均塩素濃度19.354 g/kgであることから、26 Zgがおもに塩化ナトリウム (NaCl)として存在すると推測される。海面上で生じる波により、年間6–18 Pg((6–18)×1015 g)が大気中に放出される。大部分が海洋に戻るが、一部は揮発性塩素となる。 河川水・湖水 - 河川・湖の水の総量は約1×105 km3であり、河川水には約5.8 mg/L含まれていることから、河川・湖水総量に対し580 Tgが含まれていると推測される。 地下水 - 帯水層および土壌中の地下水は地球の水量のおよそ8パーセントであり、標準的塩素濃度が40 mg/Lであることから、地下水中の塩素含有総量は320 Pgと推測される。 雪氷圏 - 極地や大陸の氷原には、0.5 Gg(0.5×109 g)の塩素が存在すると推測される。 対流圏 - 大気中では主に塩化水素やクロロメタンの状態で存在し、塩化水素は地表近くでは体積濃度(100–300)×10−12 m3/m3、都市部の高濃度域では3000×10−12 m3/m3が測定される。クロロメタンや、より高層の塩化水素、海水からのエアロゾルなどを含めると、5.3 Tgが存在していると推測される。対流圏から成層圏へは年間約0.03 Tgが放出され、成層圏から対流圏へもほぼ同量が移動する。 成層圏 - 成層圏には約3×10−12 m3/m3の塩素が含まれ、約0.4 Tgの塩素が存在すると推測される。
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