受粉依存の作物への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 09:26 UTC 版)
「蜂群崩壊症候群」の記事における「受粉依存の作物への影響」の解説
蜂群崩壊症候群の現象による影響は、農家による農作物生産に深刻な影響を及ぼすと指摘されている。ミツバチがほぼ独占的に授粉を行なっているカリフォルニアでは、栽培されているアーモンドなどの作物においてはとりわけ重要である。ミツバチに授粉を依存している米国の総収穫高は150億ドルを上回る(2000年時点)と推定されている。 一方、当地原産の草花は本来的に単一作物を集中的に栽培する場合を除き、受粉にミツバチを必要としない。集中栽培では、開花時期にあわせた受粉のために、(現在の技術で)自然のミツバチの能力を超えた受粉の媒介者として、花粉媒介を行なう昆虫等を集中して運用することが必要となる。 花粉媒介を行なう昆虫は、米国作物の種類のおよそ3分の1の受粉を媒介している。その作物にはアーモンド、桃、大豆、リンゴ、セイヨウナシ、サクランボ、木苺、ブラックベリー、クランベリー、スイカ、メロン、胡瓜、苺がある。これらの植物の多くは、米国においては他の種類のミツバチなどの昆虫が花粉を運んで授粉を行なうことが可能であり、実際に行なわれることもあるが、商業規模ではない。数種の野生種を栽培している一部の農家は、ミツバチを受粉のために持ち込んではいるが、野生種は特にミツバチを必要としているわけではない。もし、ミツバチがその地域からいなくなった場合、それらの地域自生の植物に適した自然の花粉媒介を行う動物や昆虫がその座を取り戻すと推測されている。しかし、他の種の方が実際に受粉の効果があったとしても、ミツバチが授粉を担う作物の種類の30%では、野生の花粉媒介種のほとんどはミツバチほど効果的に大量使用ができない。多くの例において、それらの昆虫は植物を訪問しようとはしない。蜂の巣は必要に応じて、ある作物から別の作物へ移動することができ、ミツバチは大群を成して多数の植物を訪れる。そのため、これらの作物の商業的生産量は、養蜂産業に強く依存していることになる。
※この「受粉依存の作物への影響」の解説は、「蜂群崩壊症候群」の解説の一部です。
「受粉依存の作物への影響」を含む「蜂群崩壊症候群」の記事については、「蜂群崩壊症候群」の概要を参照ください。
- 受粉依存の作物への影響のページへのリンク