冥界の道
*関連項目→〔道〕
『アエネーイス』(ヴェルギリウス)第6巻 アエネーアスが巫女シビュラとともに地下の冥界を進んで行くと、道は2つに分かれた。右の道はエーリュシウムへ向かい、左の道は地獄へ通じている。シビュラの指示で、アエネーアスは右の道をたどる。エーリュシウムは「幸運の杜(もり)」と呼ばれる楽園で、正しく人生を送り、祝福された人たちの霊が住んでいた。アエネーアスは、ここで亡父アンキーセースと再会する→〔冥界行〕3。
『天界と地獄』(スウェーデンボルグ)Ⅸ-74 多くの霊が、左ないし北に向かう道を進んで行くのを、「私(スウェーデンボルグ)」は見た。遠方に1つの大きな石があり、そこから道は左右に分かれた。左の道は細く狭く、西から南に通じて天界の光の中に入っていた。右の道は広く、下方へ曲がりくねり、地獄へ通じていた。善霊たちは左の道へ、悪霊たちは右の道へ進んで行った。
*天上界へ通じる穴と地下界へ通じる穴→〔冥界の穴〕1の『国家』(プラトン)第10巻。
『マハーバーラタ』第6巻「ビーシュマの合戦と死の巻」 この世を去ったヨーギン(ヨーガの実践者)がたどる道は、2つある。1つは、火、光、昼、白月、太陽が北へ向かう6ヵ月であり、ヨーギンはこれらに導かれてブラフマンのもとに達する。そこは再生のない至高の世界である。もう1つは、煙、夜、黒月、太陽が南へ向かう6ヵ月であり、ヨーギンは月光に達する。この道は再生につながり、現世に回帰して生死を繰り返すのである〔*クリシュナがアルジュナに語る『バガヴァッド・ギーター』の1節〕。
『耳袋』(根岸鎮衛)巻之9「蘇生奇談の事」 男が急病で死に、広い原の2すじ道に出る。1つは登り坂、1つは下り坂で、下りは險岨ゆえ登り坂を行く。紅衣の僧に出会って「思い残すことはないか」と問われ、「両親に会いたい」と答えると、「それなら帰してやろう」と言われ、蘇生した。
『日本霊異記』下-22 他田舎人蝦夷(をさだのとねりえびす)が死んで冥府へ赴くと、3つの分かれ道があった。1つの道は広く平坦だった。1つの道は草が少し生えていた。1つの道は藪(おどろ)で塞がっていた。冥府の王が、草の生えた道を歩くよう指示した。蝦夷は、熱い鉄の柱や熱い胴の柱を抱かされた後、許されて、死後7日して生き返った。
『日本霊異記』下-23 大伴連忍勝(おほとものむらじおしかつ)が死んで冥府へ赴くと、3つの分かれ道があった。1つの道は平坦で広かった。1つの道は草が生え荒れていた。1つの道は藪(おどろ)で塞がっていた。冥府の王が、平坦な道を歩くよう指示した。忍勝は、煮えたぎる釜の中に入れられた後、許されて、死後5日して生き返った。
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