中甲板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 15:47 UTC 版)
車両甲板の船首と両舷の中2階が中甲板で、船首から12m付近までが甲板長倉庫関連で占められ、その後ろは、貨車積み主力の車両渡船では船内軌道終端となるが、本船は車載客船で客室面積確保のため、船内軌道は車両渡船に比べ13m程度短縮され、そこに定員210名の畳敷き3等雑居室が設けられた。この後方には車両格納所前壁の前で両舷をつなぐ通路が通り、中甲板舷側部最前部の両舷側にはともに男子用、婦人用トイレ・洗面所が設置されていた。左舷のトイレ・洗面所の前を後方へ進むと、防火隔壁と、その車両格納所側壁側には階段室があった。隔壁の通路を後ろへ抜け、階段室後面の車両格納所寄りから前方に向けて車両甲板へ降りる船員用階段と、階段室後面からその外側に並んで前方に向け遊歩甲板左舷遊歩廊に上る旅客用階段があり、舷側には前部3等舷門が設置され、出入口広間となっており、その後方の車両格納所側には病室が設置されていた。その後ろは車両格納所側に3人掛け椅子が6組12脚、定員36名の向かい合わせの椅子席が設置され、舷側寄りに通路が設けられていた。洞爺丸型ではこの場所での舷側窓は大きな角窓であったが、本船では水密の丸窓となった。 さらに防火隔壁を抜けると、車両格納所側に4人掛けテーブル5卓の3等食堂があり、客用厨室と続き、防火隔壁を抜けると後部3等舷門と出入口広間に達した。ここには後方に向けて上り遊歩甲板3等雑居室内左舷に至る旅客用階段が設置されていた。さらに後方へ防火隔壁を抜けると警乗員室、男子トイレ・洗面所、婦人用トイレ・洗面所があった。 一方、右舷船首中甲板のトイレ・洗面所の前を後方へ進むと、階段室と防火隔壁があり、この階段室は、前面から後方に向け上って遊歩甲板2等出入口広間の案内所に至る船員用階段、いったん後面から入り、前方に回り込んで後方へ向け車両甲板へ降りる船員用階段、後面から前方に向け遊歩甲板右舷遊歩廊へ上る旅客用階段で構成されていた。 右舷には舷門がなく階段室直後から3等椅子席になっていたが、右舷は4人掛けでその分通路は狭かった。向かい合わせ席が22脚11組で定員88名、さらに防火隔壁を抜けると12脚6組定員48名の椅子席で、後方へ上って遊歩甲板3等雑居室内の前方右舷に至る旅客用階段と船客係控室が設置されていた。さらに防火隔壁を抜けると10脚5組定員40名の椅子席と続き、さらに防火隔壁を抜けると後方に向け遊歩甲板3等雑居室内右舷に至る旅客用階段が設置されていた。さらにその後方の防火隔壁を抜けると定員90名の畳敷きの3等雑居室が配置されていた。 なお、本船から、客室ならびに船員室内の照明には、全面的に蛍光灯が採用され、明るい船内となった。また洞爺丸型では、サーモタンク方式の温風暖房が採用されていたが、一部から寒いと不評であったため、サーモタンク方式に代わり機械通風併用での全面的な蒸気放熱器設置となった。
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