下甲板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/26 22:57 UTC 版)
正甲板の下が下甲板で、正甲板前部貨物ハッチは、水密隔壁上にあり、前半分はトランクハッチとなって第1船艙に達し、後ろ半分は第2船艙に開いた。このトランクハッチの水密囲壁周囲とその前方の下甲板には2段寝台大部屋18名の火夫室、2段寝台の6名の機関部員室、2段寝台4名の調理員室、2段寝台の6名の給仕室、倉庫等を設け、正甲板船首部左舷の郵便室横の船体中心線上の階段で交通した。これより前方は錨鎖庫、船首タンクとなっていた。 貨物艙である第2船艙の後ろには水密隔壁を隔ててボイラー室が続き、ここにハウデン式強圧通風付き舶用スコッチ缶が2缶、前後に搭載され、煙突は両缶の間の後ろ寄りに設置された。ボイラー室の両舷側には石炭庫が配置されていた。その後ろの機関室(タービン室)には、船体中心線上に高圧タービンが1基、その後方左右には高圧タービンで使った蒸気を再利用する低圧タービンが1基ずつ配置され、各タービンからはそれぞれプロペラ軸が出て、船尾水線下の中央と両側の計3基のプロペラに直結で繋がっていた。当時はこのような大出力のプロペラ軸を減速する歯車装置を造る技術がなかったため、毎分600回転というプロペラ効率の極めて悪い高回転数を余儀なくされていた。なお両側の低圧タービンには後進タービンがあり、両側のプロペラは逆転できたが、中央のプロペラは逆転できなかった。しかも両側のプロペラも互いに逆回転させることができなかったため操縦性は良くなかった。舵は中央のプロペラ直後の1枚だけであった。
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