シュロ
ワジュロ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 10:16 UTC 版)
中華人民共和国湖北省からミャンマー北部まで分布する。日本では平安時代、中国大陸の亜熱帯地方から持ち込まれ、九州に定着した外来種である。日本に産するヤシ科の植物の中では最も耐寒性が強いため、東北地方まで栽培されていて、なかには北海道の石狩平野でも地熱などを利用せずに成木できるものもある。 地球温暖化で冬の寒さが厳しくなくなり、本州でも屋外で育ちやすくなっている。国立科学博物館附属自然教育園(東京都)では1965年に数本だったシュロが2010年に2585本へ増えた。 雌雄異株で、稀に雌雄同株も存在する。雌株は5 - 6月に葉の間から花枝を伸ばし、微細な粒状の黄色い花を密集して咲かせる。果実は11 - 12月頃に黒く熟す。 幹は円柱形で、分岐せずに垂直に伸びる。大きいものでは樹高が10mほどになる。 幹の先端に扇状に葉柄を広げて数十枚の熊手型の葉をつける。葉柄の基部は幹に接する部分で大きく三角形に広がり、幹を抱くような形になっている。この部分の下端から下に30-50cmにわたって幹を暗褐色の繊維質が包んでおり、これをシュロ皮という。 シュロ皮を煮沸し、亜硫酸ガスで燻蒸した後、天日で干したものは「晒葉」と呼ばれ、繊維をとるのに用いられる。シュロ皮の繊維は、腐りにくく伸縮性に富むため、縄や敷物、タワシ、ホウキなどの加工品とされる。又、シュロの皮を用いて作られた化粧品も発売されている。 1830年(江戸時代後期)にフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが日本の出島から初めて西洋に移出し、後にイギリスの植物学者ロバート・フォーチュンに献名された。英名はロバート・フォーチュンが初めてワジュロを見た中国浙江省の舟山島にちなむ[要出典]。
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