レクチン経路
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レクチン経路(マンノース結合レクチン(Mannose-Binding Lectin、MBL)経路、MBL-MASP、英: Lectin pathway)は古典経路に相同であって、C1qの代わりにオプソニン、マンノース結合レクチン、フィコリンを使う。この経路はマンノース結合レクチンが病原体表面のマンノース残基に結合することによって活性化される。これはMBL関連セリンタンパク質分解酵素であるMASP-1とMASP-2(それぞれC1rとC1sに似ている)を活性化しC4を分解してC4aとC4bに分け、C2を分解してC2aとC2bに分ける。C4bとC2aは古典経路と同じく、結合してC3転換酵素を形成する。これにより古典経路と同様、C5転換酵素であるC4b2a3bが形成され、以降古典経路と同様に進行する。 フィコリンはMBLに相同でMASPを介して同様な機能を果たす。無脊椎動物では適応免疫系はないのでフィコリンが幅を利かせており、病原体識別分子がないということを埋め合わせするように広範囲の結合特性をもっている。
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レクチン経路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 06:14 UTC 版)
そもそもレクチン自体、植物種子中から発見されたが、動物の赤血球を凝固させる因子としてレクチンが発見された。これは、レクチンには、血液中に存在する糖鎖と結合する因子が存在するからである。 そしてその後、植物にかぎらず、動物の体内にも糖鎖と結合するタンパク質が見つかり、「レクチン」と命名された。 なので、一口に「レクチン」と言っても、様々な種類のものがあり、動物レクチンと植物レクチンとは異なる。また、一口に「動物レクチン」と言っても、免疫ではなく細胞接着のための動物レクチンも存在している。 本頁では、主に動物由来のレクチンについて、また免疫に関係性の高そうなレクチンについて述べる。 なんのために動物体内にレクチンがあるのかというと、通説としては、貪食細胞であるマクロファージなどによる攻撃の標的のための目印であり、レクチンがマンノースに結合することにより、マクロファージなどに存在する受容体で異物として認識することができるようになると一般に考えられている。 レクチンのうち、マンノースと結合するものはマンノース結合レクチン(mannose-binding lectin、略称: MBL)と言われている。現在、マクロファージにマンノース受容体がある事が分かっている。 真菌などには細胞壁にマンノースをもつ細菌もいるので、これらの細菌をマクロファージが攻撃するために、マンノースと結合するレクチンによって、標的の目印をつけているというわけであろう。 客観的な事実としては、これらレクチンは、生体の自然免疫に関わっていることが分かっている。 実際、先天性異常の患者でMBL欠損のある患者は、幼児期に易感染性であることが報告されている。 これらMBL関連の機構の動作に、カルシウムを必要とするレクチンがあるので、そのようなカルシウム依存性のレクチンは「C型レクチン」(C-type lectin receptors, 略称: CLR)と言われている。C型の「C」とはカルシウムのつづりの事である。 また、このようなレクチンによる自然免疫の機構のことを「レクチン経路」という。 一方、「古典的経路」とは獲得免疫のことである。レクチン経路と対比して、自然免疫を補って働く獲得免疫のことを「古典的経路」という場合もある。
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