真菌とは? わかりやすく解説

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しん‐きん【真菌】

読み方:しんきん

菌類から変形菌除いたものの、かつての呼称分子系統学的な生物分類においては、真菌(類)という呼称使われなくなった一方、現在も医学・獣医学分野では、病原体としての菌類細菌区別して真菌とよぶ。真菌類。→真菌症


真菌

【仮名】しんきん
原文fungus

葉緑素合成しない植物性生物キノコ酵母カビなどがある。複数形fungi

真菌 [Fugus(gi)]

 真核生物中の原生生物界の1群で、一般的な名称で分類上の用語ではないが、きのこ、かび、酵母などが真菌である。また、菌類という名称も真菌と粘菌(変形菌)をまとめた一般的な用語である。生物学的にはきのこで代表される担子菌類、かびとよばれる子嚢菌類酵母含まれる不完全菌類および水かびなどの鞭毛菌類接合菌類分けられる
酵母以外のほとんどの真菌は多性で、菌糸体よばれる長い栄養体をもち、枝分かれしている場合が多い。菌糸体生殖細胞(有性生殖接合子)または胞子(無性生殖)や遊走子などの発芽つくられる。真菌は細菌藍藻のような原核生物違って高等動植物原生生物同様に真核細胞でできているから、二重の核膜囲まれがあり、全て好気性菌で、呼吸ミトコンドリアよばれる器官行われるまた、一般植物の細胞似てキチンセルロースグルカンマンナンあるいはキシランなどの多糖から成る厚い細胞壁をもっているが、おもに有機物直接摂取して栄養にしているので、多く原虫粘菌同様に従属栄養性原生生物である。
担子菌類では、まず接合子担子器成長し、その担子器端から胞子ができて放出される。きのこはこの担子胞子をつけた比較大きな子実体よばれる部分である。担子胞子から栄養菌糸つくられる
子嚢菌類では接合子が袋状の構造体である子嚢の中で減数分裂有糸分裂行って子嚢胞子となり、やがて子嚢やぶれて胞子放出され胞子から栄養菌糸になる。アオカビ(ペニシリウム)、クロカビ(アスペルギルス)、アカパンカビ(ニューロスポラ)などはこれに属する。
不完全菌類有性生殖をしないか、有性世代知られていない菌類暫定的な分類名である。ボトリチスセファロスポリウム、トリコフィトン(白癬菌などがこれに属する。酵母はほとんど菌糸状(偽菌糸をつくる酵母もある)にならず、球形または卵形単細胞で、その出芽によって増殖する。したがって酵母分類上、担子菌類子嚢菌類不完全菌類いずれかに属している。
藻菌類運動しない胞子接合によって接合胞子をつくる接合菌類と、鞭毛がある遊走子をつくる鞭毛菌類分けられる。ただし、現在、藻菌類という名称はあまり使われず、接合菌類とともにツボカビ類、サカゲツボカビ類卵菌類として独立させて取り扱われることが多い。接合菌類には陸生クモノスカビケカビなどがあり、卵菌類には魚類甲殻類寄生する種々のミズカビノリの壷状菌などがある。
 しかし、全生物からみた真菌の分類上の位置付けについては、いくつかの説があるが、最近、これらの真菌の中で担子菌類子嚢菌類不完全菌類接合菌類と、藻類と真菌の共生体である地衣類まとめて菌界」とし、従来の真菌に含められていたツボカビ類、サカゲカビ類、卵菌類などは原生生物界として分け傾向にある。
真菌の多く腐生菌であるが、アルコール飲料味噌チーズなどの酪農品の製造欠かせない有用なものも多いが、中には上記のようにヒトをはじめ種々の動物果樹穀類あるいは野菜などの植物病原菌もある。なお、真菌にはペニシリンなどの抗生物質アフラトキシンのような真菌毒素ジベレリンのような植物ホルモンビタミン酵素その他の生理活性物質をつくるものも知られている。その発育は抗真菌性抗生物質阻止される

菌類

(真菌 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/04 08:29 UTC 版)

菌類(きんるい)とは、広義には細菌類卵菌類変形菌類及び真菌類を指し、狭義には真菌類を指す。本稿では主に狭義の菌類(真菌類)について扱う。真菌類は、キノコカビ単細胞性酵母鞭毛を持った遊走子などの多様な形態を示す真核生物であり、菌界学名Regnum Fungi)に分類される生物群である。大部分の菌類は、外部に分解酵素を分泌して有機物消化し、細胞表面から摂取する従属栄養生物である[2][3]


  1. ^ Moore RT. (1980). “Taxonomic proposals for the classification of marine yeasts and other yeast-like fungi including the smuts”. Botanica Marine 23: 361–73. 
  2. ^ 卵菌類(きんるい)とは”. コトバンク. 2019年7月23日閲覧。
  3. ^ 菌類(きんるい)とは”. コトバンク. 2019年7月23日閲覧。
  4. ^ (Webster 1985, p. 1)、変形菌関連を除いて記述
  5. ^ Cavalier-smith,2001,p3
  6. ^ a b Hibbett et al. (2018). “Phylogenetic taxon definitions for Fungi, Dikarya, Ascomycota and Basidiomycota”. IMA Fungus 9: 291-298. doi:10.5598/imafungus.2018.09.02.05. 
  7. ^ 柿嶌 & 徳増 2014, p. 197.
  8. ^ (Webster 1985)[要ページ番号]
  9. ^ Hibbett et al. A higher-level phylogenetic classification of the Fungi. Mycological research (2007) 111:509-547
  10. ^ a b Adl, Sina M.; Bass, David; Lane, Christopher E.; Lukeš, Julius; Schoch, Conrad L.; Smirnov, Alexey; Agatha, Sabine; Berney, Cedric et al. (2018-09-26). “Revisions to the Classification, Nomenclature, and Diversity of Eukaryotes” (英語). Journal of Eukaryotic Microbiology: jeu.12691. doi:10.1111/jeu.12691. ISSN 1066-5234. PMC 6492006. PMID 30257078. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jeu.12691. 
  11. ^ 矢﨑裕規; 島野智之『真核生物の高次分類体系の改訂―Adl et al. (2019)について―』日本動物分類学会、2020年2月29日、78頁。doi:10.19004/taxa.48.0_71https://doi.org/10.19004/taxa.48.0_712020年3月24日閲覧 
  12. ^ 菌類の概要”. 京都府自然環境目録. 2021年8月12日閲覧。
  13. ^ a b c d 平松啓一・中込治 編集「第V章 真菌学」『標準微生物学』(10版)、2009年。ISBN 978-4-260-00638-5 
  14. ^ Sapp, J. (2005). “The Prokaryote-Eukaryote Dichotomy: Meanings and Mythology”. Microbiol. Mol. Biol. Rev. 69 (2): 292-305. doi:10.1128/mmbr.69.2.292-305.2005. 
  15. ^ 柿嶌 & 徳増 2014, pp. 198–199.
  16. ^ 柿嶌 & 徳増 2014, pp. 173–176.
  17. ^ 柿嶌 & 徳増 2014, pp. 212–215.
  18. ^ a b 『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p250-252 2003年3月20日初版第1刷 小学館
  19. ^ 乾燥させて大変身 キノコの栄養をたっぷり摂る方法”. ウェザーニュース. 2024年2月4日閲覧。
  20. ^ 「発酵」p83 小泉武夫 中公新書 1989年9月25日初版
  21. ^ 「発酵」p91-92 小泉武夫 中公新書 1989年9月25日初版
  22. ^ 「発酵」p86-87 小泉武夫 中公新書 1989年9月25日初版
  23. ^ 「発酵」p111-113 小泉武夫 中公新書 1989年9月25日初版
  24. ^ 「カビのはなし ミクロな隣人のサイエンス」p130 高取浩介・久米田裕子編 朝倉書店 2013年9月25日初版第1刷
  25. ^ 「発酵」p136-138 小泉武夫 中公新書 1989年9月25日初版
  26. ^ 「カビのはなし ミクロな隣人のサイエンス」p132 高取浩介・久米田裕子編 朝倉書店 2013年9月25日初版第1刷
  27. ^ 大坂一夫『シクロスポリン』公益社団法人 日本薬学会、1986年9月1日。doi:10.14894/faruawpsj.22.9_984https://doi.org/10.14894/faruawpsj.22.9_9842021年8月11日閲覧 
  28. ^ Tsukagoshi, S (1984-06). “Krestin (PSK)” (英語). Cancer Treatment Reviews 11 (2): 131–155. doi:10.1016/0305-7372(84)90005-7. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/0305737284900057. 



真菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/03 08:28 UTC 版)

Plague inc.」の記事における「真菌」の解説

ウイルス攻略することで選択可能になる胞子長距離移動できない一方固有能力である「胞子破裂」を用いることで、ランダム1つの非感染国に伝染することできるまた、6度胞子破裂選択すると、「胞子爆発」という複数の非感染国に感染させることのできる能力出現する

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真菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 18:51 UTC 版)

Plague Inc.」の記事における「真菌」の解説

ウイルス攻略することで選択可能になる胞子長距離移動できない一方固有能力である「胞子破裂」を用いることで、ランダム1つの非感染国に伝染することできるまた、3度胞子破裂選択すると、「胞子爆発」という複数の非感染国に感染させることのできる能力出現する胞子破裂胞子爆発セット2つあり、合わせて最大22か国増やすことができる(連続進化させると対象国被ってロスになってしまう場合がある)。さらに、すべて進化させることで感染力大きく上昇させる胞子強化」が進化可能となる。

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真菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 06:22 UTC 版)

アルカロイド」の記事における「真菌」の解説

シビレタケ属 Psilocybeにおけるシロシビンなどが知られる

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真菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:50 UTC 版)

エピジェネティクス」の記事における「真菌」の解説

糸状菌アカパンカビは、シトシンメチル化の制御機能理解するのに重要なモデル系である。この生物DNAメチル化は、RIP反復配列誘発性点突然変異)と呼ばれるゲノム防御システム関連しており、転写伸長阻害することにより遺伝子発現抑制している。出芽酵母分裂酵母また、エピジェネティクス研究における真核生物モデルとしての地位得ている。出芽酵母ユークロマチンにおける遺伝子発現ヘテロクロマチン構造をとるテロメアエピジェネティクス研究良く用いられている。他方分裂酵母は、セントロメアヘテロクロマチン構造およびヒストン修飾遺伝子サイレンシングなどのモデル生物として研究なされている。 出芽酵母プリオンPSIは、翻訳終結因子Sup35p立体構造変化したものであり、変化した構造のまま娘細胞継承されるプリオンは、ゲノム変更することなく表現型の変化誘導することができるエピジェネティック作用物質してみなすことができる。PSI悪条件下でも生存優位性提供することができ、単細胞生物環境ストレス迅速に対応できるようにするエピジェネティック制御一例である(後述)。

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真菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 02:51 UTC 版)

性感染症」の記事における「真菌」の解説

カンジダ症性器の痒み分泌物

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真菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 04:40 UTC 版)

生物に関する世界一の一覧」の記事における「真菌」の解説

世界一大きく生長するキノコ世界一菌糸長いキノコ一部真菌学者主張) → オニナラタケ(学名:Armillaria ostoyae [アルミラリア・オストヤエ])。ナラタケ属一種。アメリカオレゴン州のマルール国有林発見され同一遺伝子由来コロニー個体群)は、菌糸が覆う地表面積約8.903km2であった。 最も高い温度生育可能な真核生物 → Thermomyces lanuginosus (60)。

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真菌

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名詞

しんきん

  1. 菌類に同じ。

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