ナイター設備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:59 UTC 版)
銀傘の上の2基と、内野(アルプススタンド後方)2基、外野2基とで、計6基の照明塔により構成されている。この構成は1956年の新設時からのまま続いているが、形状とランプの位置・種類は新設時と現在とでは異なっている。 複数のランプを組み合わせる「カクテル光線」の発祥地でもあり、1956年に設置された当時は白熱灯と水銀灯を組み合わせて使用した。オレンジ色の白熱電灯と青白い水銀灯を併せ、自然光に近い色調のまま球場全体を満遍なく照らすという試みから生まれたものであった。その後、演色性を高めるため1974年にメタルハライドランプと高圧ナトリウムランプの組み合わせに代わり、これが2021年まで続いた。 2008年の外野席改修工事実施までの外野照明塔はスタンドに直接設けられていた(右の画像を参照)。1つの照明灯につき2本の柱が観客席内に建てられていたため、特に柱の直後の観客席からは大幅に視野が狭められていた。2009年からスタンド外の2本とスタンド最上段の2本の鉄柱とで支える方式となりどの席からでも見やすくなったほか、外野の2基には大型の広告看板も設置された。また、内野でも同時期に行われた改修工事で銀傘が架け替えられた際に、銀傘上の照明塔に代わって横長に延びた縦2列のランプが銀傘に沿ってアイビーシート・ブリーズシートの位置あたりに1基ずつ設置された。 2022年より、「環境保全の推進」に関する取り組みの一環としてLEDランプを使用している。このLEDランプは既製品ではなく、それまでのカクテル光線による明かりを忠実に再現するためにメーカーのパナソニックが独自に開発した特注品である。他にも設置場所・照射対象エリア・使用時の外観を考慮した複数タイプの器具や、特注の器具を使用することで従来のカクテル光線を踏襲した。また、ステージ照明などに用いられる通信規格・DMXによる調光システムを採用することで、よりスムーズな調光の他、場内演出に合わせた光の演出が可能となり、プロ野球においては主にナイターの試合で照明塔を用いて文字やイラストを表示する演出もなされている。この照明塔のLED化により、二酸化炭素(Co2)の排出量が従来の約60%に削減できるという環境効果が期待されているほか、球場の外に照明の光害が発生しないようにするなどの工夫がこなされている。 なお、LED化後でのナイターの試合はプロ野球に先駆けて第94回選抜高等学校野球大会で行われた。
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