チェックオフ
・チェックオフとは、所得税や住民税をはじめとする各種の諸税及び、労働組合の組合費、保険料などを賃金から控除することを指して言う。昨今、チェックオフと言えば、
「賃金からの組合費控除」の総称として使われることが多い。
・昨今で言うチェックオフ制度(チェックオフ協定)とは、労働組合と使用者の間で締結された協定に基づいて、使用者が組合員の賃金から組合費を控除し、それを一括して労働組合に渡すと
いうものである。労働基準法第24条1項では、賃金の全額支払いの原則を定めており、チェックオフ制度はこれに反した賃金の一部控除になる。しかし同条の但し書き
に、別途協定を結ぶことで、賃金を一部控除して支払うことができるとされており、チェックオフ制度が成り立っている。
・このチェックオフ制度が施行されていない場合、労働組合は組合員に対して直接組合費を徴収することになり、手間がかかるだけでなく、徴収漏れが発生する恐れも
ある。チェックオフ制度は、戦後の日本における労働運動の過程で、労働組合が使用者との交渉の結果として得た権利であり、永年に渡り定着している(2006年6月に
厚生労働省が行った調査によると、全国の労働組合の93.5%がチェックオフ制度を施行している)。また、一度施行されたチェックオフ制度を、労働組合の了承を得ずに使用者側の都合で廃止すると、不当労働行為とされる場合もある。
・チェックオフ制度は、労働組合の財源確保の観点から、労働組合を運営していく上で重要な役割を果たすものではある。しかし、労せず自動的に組合費が徴収できる
ことで、組合員から組合費を徴収しているという意識が薄れてしまう可能性も高い。過去には組合費を組合活動とは異なる目的のために使う(使い込み)といった事件も
発生している。組合員の意見を聞きつつ、組合費を組合員から直接徴収することが組合活動のひとつであるとの考えもあり、チェックオフ制度が組合活動の停滞を誘発
しているとの意見も出ている。
・チェックオフ制度に関する最近の動きとしては、大阪市では2008年3月に自民党が提出した「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」が可決されたことに
より、2009年度から大阪市職員のチェックオフ制度を廃止することとした。これに対して大阪市労働組合連合会は、チェックオフ制度は労使自治に関する問題である
として、自民党による労使自治への介入に反発している。自民党がチェックオフ制度の禁止に向けて動いたのは、民主党の最大支持基盤である日本労働組合総連合会への牽制が目的とも言われている。
チェック・オフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/03 16:13 UTC 版)
チェック・オフ(check off)とは、使用者が給与支給の際、労働者の賃金から組合費を控除し、労働組合に一括して渡すことをいう。
- ^ 済生会中央病院事件・最高裁判所平成元年12月11日判決
- ^ 昭和24年8月8日労発第317号
- ^ 昭和24年8月1日労働法規課長内翰
- ^ 1952年(昭和27年)の改正前はチェック・オフは労働協約によって行うことを定めていたので少数組合であっても固有の協約権に基づいてチェック・オフを行っていたが、改正により労使協定が必要となったため過半数代表の問題を生じることになった。
- ^ エッソ石油事件・最高裁判所平成5年3月25日判決
- ^ 西谷敏『労働組合法第3版』有斐閣 2012年 p.271~272では判例の立場を「労働組合や組合費の性格を正しくとらえていない。」と批判している。
- ^ 平成23年労働協約等実態調査の概況
- ^ 最高裁平成30年(行ツ)第382号・平成30年(行ヒ)第442号労働委員会裁判例データベース
- 1 チェック・オフとは
- 2 チェック・オフの概要
- 3 脚注
チェック・オフと同じ種類の言葉
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