シュワー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/08 05:15 UTC 版)
シュワー | |
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ə | |
IPA 番号 | 322 |
IPA 表記 | [ə] |
IPA 画像 | |
Unicode | U+0259 |
文字参照 | ə |
JIS X 0213 | 1-11-16 |
X-SAMPA | @ |
Kirshenbaum | @ |
音声サンプル |
シュワー(独: Schwa)とは母音の一つ。または、その音を表す音声記号・文字 ə のこと。
音素
シュワーは、音素として「中舌中央母音」または「曖昧母音」を指す。同じ記号で表記されていても、両者は異なる。
中舌中央母音
一つは国際音声記号によって定められた中舌で口の開きの度合いも中間的な中央母音 [ə] を指す。これを中舌中央母音(なかじた・ちゅうおうぼいん)または中段中舌母音(ちゅうだん・なかじたぼいん)という。
曖昧母音
もう一つは曖昧母音(あいまいぼいん)とも呼ばれ、各言語において見られるはっきりとした特徴のない中性的な母音のことをいう。言語によっては前述の中舌中央母音 [ə] でないこともあるが、音素表記では /ə/ と書かれることが多い。
この曖昧母音を音素としてもつ言語の発音を日本語で表記する場合、原則として「イ段」以外で表記される[1]。
名称の由来
「シュヴァー」の名称は、ヘブライ語の文法用語における שוא (shva, sheva)に由来する。これは、ヘブライ語における軟母音(最短母音)をあらわす用語である。
「ə」の記号を中舌中央母音の意味で最初に使い、"Schwa"(シュヴァー)という名前を与えたのは、ドイツのエドゥアルト・ジーファースであったらしい[2]。
言語例
中舌中央母音としては以下のような例がある。
曖昧母音としては以下のような例がある。
ストレスアクセントとの関係
英単語の弱音部の音節の母音は、しばしばシュワに退化する。 例えばバナナ(banana)の発音は[bə-ˈnæ-nə]。[3]
脚注
- ^ ただし、英語の綴りのうち強勢のない "i" は、母音の [ɪ] または [ə] で発音するものがあり、これを /ə/ と音素表記することがある(英語版ウィキペディアの Help:IPA_for_English では /ɨ/ としている)。日本語表記ではイ段を用いることが多い(animation 「アニメーション」の最初の i など)。
- ^ 神山孝夫『印欧祖語の母音組織―研究史要説と試論―』大学教育出版、2006年、96頁。ISBN 9784887307186。
- ^ “英単語の強調はストレスアクセントの位置・音節・曖昧母音(シュワ)の発音が要!”. 『伝わる!』英語発音 (2023年5月30日). 2024年6月8日閲覧。
シュワー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 01:17 UTC 版)
「ヘブライ語のティベリア式発音」の記事における「シュワー」の解説
「ニクダー」の他の記号と異なり、「シュワー」は母音の長さを表す場合もあり、母音の性質(音価)を現す場合もある。母音の長さについては、「シュワー」は母音がないことを示す「シュワー・ナハ」(שווא נח, 「休みのシュワー=無音シュワー」)である場合と、上述の短母音「誘拐された母音」や、たまに「完全母音」を表す「シュワー・ナア」(שווא נע, 「動くシュワー=有音シュワー」)である場合がある。また母音の性質(音価)については、「シュワー」はティベリア式発音にある7種類の母音全てを表すことができる。 大抵の場合、「シュワー」が有音か無音かを、それだけで判別することはできず、聖書の朗読箇所の節回しの付け方により有音にも無音にもなる。例えば、"אֶקְרָא"「私は呼ぶ」という語において、『詩篇』第18章第4節は無音であるが、同第18章第7節は有音となっており、この2つは同一の単語である。このような場合、「シュワー」がどのように発音されるかは、その箇所に記された「タアメイ・ハミクラー」等の朗読の節回しを表す記号により判別されるのである。 しかし、このような「シュワー」の判別には常に適用される4つの鉄則も存在する。すなわち、 語頭のシュワー = 有音 語末のシュワー = 無音 強ダゲッシュ(後述)の付いた文字に付いたシュワー = 有音 シュワーが2つ連続した時 = 1つ目が無音で2つ目が有音 有音シュワーは通常「ハタフ・パタフ」([ă])の音価を表している。シュワーが喉音の子音の直前にある場合は、その喉音にある母音に対応する「誘拐された母音」の発音となる。例えば、מְאֹד「とても」という語は、א が喉音であるため、מ ([m])の下のシュワーが א にある母音「ホラム」([o])に対応する「誘拐された母音」、「ハタフ・ホラム」になり、[mŏʔoð]と発音される。また、シュワーが「ヨッド」”י”の直前にある場合は、音価は [ĭ] となり、例えば בְּיוֹם「日中に」と言う語は、[bĭjom]のように発音される。 特殊な例には、「シュワー・ゲイヤー」(שווא-געיה, 「鳴くシュワー」)というもので、「ゲイヤー」という記号がシュワーの隣に付されると、そのシュワーの表す「誘拐された母音」が「完全母音」として発音される。例えば、בְּהֹנוֹת の "ב" の下にあるシュワーは、右図のように「ゲイヤー」(垂直の棒)により「シュワー・ゲイヤー」となり、[bohonoθ]と発音される。
※この「シュワー」の解説は、「ヘブライ語のティベリア式発音」の解説の一部です。
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