ケートスとは? わかりやすく解説

ケートス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 03:41 UTC 版)

ケートス古希: κῆτος, kētos)はクジラ類やアザラシなどの「海獣」を意味するギリシア語だが、ギリシア神話においては本来の姿をやや離れ、一種の神獣怪物として登場する。また、ラテン語化された「ケートゥス」や「セタス」(cetus)の呼称で参照されることもある。


注釈

  1. ^ ΚΗΤΟΣ」 の字が添えられている。
  2. ^ μεγακήτης(ケートスの異名)」
  3. ^ 骨格の高さだけでも船舶と変わらないほどに大きいとされる場合もある。
  4. ^ ペルセウスがケートスを討伐する際に、メデューサの首を使うのは普遍的な描写の一つである。
  5. ^ ペガサスグリフォンに乗って現れるとする場合と、魔法の靴によって空を飛んで現れるとする場合などがある。
  6. ^ 剣で倒されたとする話と、メドゥーサの首を突き付けられ石と化したとする話とがある。
  7. ^ パライモーンを救った海豚の代役になっている。
  8. ^ ガンダーラで発見されたマカラレリーフにもケートスの影響を指摘する声もある。
  9. ^ グラフトン・エリオット・スミス(1919年)『The Evolution of the Dragon』より。
  10. ^ drakōn」、後の西洋のドラゴンの原型とされる。
  11. ^ や金毘羅(クンビーラ)等のルーツともされる。
  12. ^ 本著では、ケートスの他にも、タイカオ・サム・カエオ遺跡英語版におけるグリフォンの彫像や、甘粛省靖遠県にてヒョウに跨るディオニューソスの彫像が発見されていることも言及されている(第222頁)。
  13. ^ 前漢以前と以降では、中国の竜の頭部のデザインに明確な変化が見られるとされ、様々な古代ギリシャの文化が拡散していった時期と合致しており、該当時代のケートスと竜のデザインの類似性が指摘されている(第221-224頁)。
  14. ^ ヘレニズム時代に見られたアプロディーテーに付き従う海豚型の生物とマカラの類似性が強く(第212頁)、ケートスとマカラのデザインの共通性も見られるとされ(第260頁、第287頁、第360頁)、また、コルカタ博物館に展示されているまぐさ石では、ケートスとマカラとキューピッドが同一のレリーフ内にて互いに接触している(第364頁)。
  15. ^ 同著では、ギリシャ神話とアジアの神話の比較神話学上の関連性については言及されていない。
  16. ^ 燭陰Zhulong)とは異なる。
  17. ^ ドラゴン(英語版)等と共に「七英雄」に属し、ギリシャ神話の七つ頭の大蛇(英語版)や黙示録の獣とは異なる。
  18. ^ 竜神竜王等を含む。

出典

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  3. ^ a b Daniel Ogden, 2013年, Drakon: Dragon Myth and Serpent Cult in the Greek and Roman Worlds,Drakon: Dragon Myth and Serpent Cult in the Greek and Roman Worlds, Fights with Kētē, Sea-Serpents, 116-147頁, オックスフォード大学出版局
  4. ^ Judith McKenzie, A.T. Reyes and A. Schmidt-Colinet, "Faces in the rock at Petra and Medain Saleh," Palestine Exploration Quarterly 130 (1998) 37, 39 with references. Not all decapitation scenes are identifiable as Gilgamesh and Humbaba: in 1928 C. Opfer claimed to find only one (Opfer, "Der Tod des Humbaba," Altorientalische Forschungen 5 (1928:207ff).
  5. ^ 久保田悠羅, F.E.A.R., 2002年, 『ドラゴン』, 「Truth In Fantasy」シリーズ, 新紀元社
  6. ^ Perseus: ビブリオテーケー 2.4.3. ヘラクレス: ホメーロス イーリアス 21.441, Apollodorus 2.5.9.
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  8. ^ a b c 金沢百枝, 2008年, 『ロマネスクの宇宙:ジローナの『天地創造の刺繍布』を読む』, 116-129頁, 東京大学出版会, ISBN 978-4-13-086037-6
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  11. ^ a b Isa. 27:1 (欽定訳聖書).
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  13. ^ a b 唐草とともにある聖獣(2) - マカラ
  14. ^ Sharon Khalifa-Gueta, 2018年, The Evolution of the Western Dragon (PDF), 265-290頁, Athens Journal of Mediterranean Studies, Volume 4, Issue 4, Center for European and Mediterranean Affairs, Athens Institute for Education and Research
  15. ^ 金沢百枝, 2008年, 『古代地中海の怪物ケートスの系譜とドラゴンの誕生--ジローナ《天地創造の刺繍布》における二匹の海獣に関する一考察』, 「地中海学研究 = Mediterraneus」, 第24巻, 3-28頁, 地中海学会, ISBN:09118802
  16. ^ a b c ジョン・ボードマン英語版 (2015). The Greeks in Asia. テームズ・アンド・ハドソン. pp. 212, 221-224, 260, 287, 360, 364. ISBN 0500252130 
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  24. ^ Joseph Stromberg, 2012年, Where Did Dragons Come From?, スミソニアンマガジン, スミソニアン博物館
  25. ^ 藤沢と龍のはなし



ケートス

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紅殻のパンドラ」の記事における「ケートス」の解説

秘密結社ポセイドン所有する海上移動要塞科学技術ギルド前線基地でありセナンクル島近海停泊している。普段光学迷彩展開しており姿は見えない

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ケートス

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ダンボール戦機」の記事における「ケートス」の解説

海獣イメージした水中戦重視LBX。ワイルドフレーム。

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ケートス

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パラレルパラダイス」の記事における「ケートス」の解説

カバのような上半身鯨類下半身を持つ、キメラ型モンスター日光浴びると消滅する

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