グルクロン酸抱合
【概要】 肝細胞における化学物質(薬物)処理の一つのやりかた。肝細胞中の滑面小細体にあるグルクロニルトランスフェラーゼという酵素によって、グルクロン酸がくっつき水溶性の物質に変わる。このような抱合型の物質は微小胆管に移動され、胆汁中に捨てられる。このグルクロニルトランスフェラーゼという酵素は、フェニトインなどの薬物で生産量が増えることがある(=酵素誘導という)。
【詳しく】 例えばビリルビンはヘム蛋白が処理されてできる物質である。体内で産生されたビリルビンは非抱合型ビリルビンとして肝臓に運ばれた後、uridine diphosphate glucuronyl transferase(UDPGT)の作用により抱合型ビリルビンに変化する。この非抱合型ビリルビンが間接ビリルビンである。したがって間接ビリルビンの増加は、①UDPGTの先天的な欠乏、②体内でのビリルビン生成過剰=溶血、③肝臓での抱合異常=酵素の阻害により出現する。インジナビルやアタザナビルなどのプロテアーゼ阻害剤は③を起こす。
グルクロン酸抱合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 10:18 UTC 版)
生体が体外へと廃棄したい脂溶性の化合物を水溶性に変換するために、脂溶性の高い化合物に、水溶性の高い小さな分子を結合させる反応を、抱合と総称する。グルクロン酸は水に対して、高度に可溶性の物質であり、抱合に利用可能な化合物の1つである。そのため動物体内において、体外へ排出したい脂溶性の高い化合物に、しばしばグルクロン酸が結合される。また、体外から入ってきた異物だけでなく、ビリルビンのような体内で生成された老廃物に対して、グルクロン酸を結合する反応も知られている。加えて、輸送し易くするために、ホルモンの中でも脂溶性の高いホルモンに、グルクロン酸が結合されたりもする。これらの過程は、グルクロン酸化、あるいは、グルクロン酸抱合と総称される。なお、グルクロン酸抱合を行った後の化合物群、つまりグルクロン酸が結合された化合物群は、グルクロニドもしくはグルクロノシド、またはグルクロン酸抱合体と総称される。水溶性が増したグルクロニドの形にして、生体内から体外へと排出される。
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