カイラル対称性
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カイラル対称性(カイラルたいしょうせい、英: chiral symmetry)とは、量子色力学 (QCD) において、クォークのフレーバーを右巻きスピン成分と左巻きスピン成分で独立に変換する近似的な対称性である(スピンの右巻き、左巻きについてはカイラリティを参照のこと)。QCDのダイナミクスにより、カイラル対称性には自発的対称性の破れが起き、ハドロンに大きい質量を与える。なお、南部、ヨナラシニオが自発的対称性の破れの概念を最初に提唱した際に扱われた対称性は、このカイラル対称性である[1][2]。
- ^ Nambu, Y.; Jona-Lasinio, G. (1961). “Dynamical model of elementary particles based on an analogy with superconductivity. I”. Phys. Rev. 122: 345-358. doi:10.1103/PhysRev.122.345.
- ^ Nambu, Y.; Jona-Lasinio, G. (1961). “Dynamical model of elementary particles based on an analogy with superconductivity. II”. Phys. Rev. 124: 246-254. doi:10.1103/PhysRev.124.246.
- ^ 標準模型では、ヒッグス場と物質場との間に湯川相互作用を導入することにより、クォークやレプトンに質量を与えている。同じヒッグス場が元になっているが、ゲージ対称性を破り(ヒッグス機構)、W, Zボゾンに質量を与える相互作用とは異なり、湯川相互作用はゲージ対称性によって要請される相互作用ではない。
- ^ ラグランジアンの対称性は、正確には U(2)L×U(2)R である。部分群の U(1)L×U(1)R はアノマリーにより U(1)V に破れる。
- ^ Particle Data Group: C. Amsler et al. (2008). “Review of Particle Physics”. Physics Letters B 667: 1-6. doi:10.1016/j.physletb.2008.07.018.
- 1 カイラル対称性とは
- 2 カイラル対称性の概要
- 3 外部リンク
カイラル対称性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/12 09:01 UTC 版)
詳細は「カイラル対称性」を参照 質量0のディラック粒子のフェルミオン場(英語版) ψ {\displaystyle \psi } を扱うベクトルゲージ理論はカイラル対称性を示す。例えば、スピンの左巻き成分と右巻き成分が独立に回転することは理論にとって違いをもたらさない。これは場に対する回転の作用として次のように記述することができる: ψ L → e i θ L ψ L {\displaystyle \psi _{L}\rightarrow e^{i\theta _{L}}\psi _{L}} and ψ R → ψ R {\displaystyle \psi _{R}\rightarrow \psi _{R}} または ψ L → ψ L {\displaystyle \psi _{L}\rightarrow \psi _{L}} and ψ R → e i θ R ψ R . {\displaystyle \psi _{R}\rightarrow e^{i\theta _{R}}\psi _{R}.} N種類のフレーバーについて、単位回転SU(N)L×SU(N)Rを代わりに用いることができる。 質量のあるフェルミ粒子はカイラル対称性を示さない。ラグランジアンの質量項 m ψ ¯ ψ {\displaystyle m{\overline {\psi }}\psi } はカイラル対称性を破るとも言える。いくつかの理論においては、自発的対称性の破れが起こることがわかっている。これは量子色力学において最も顕著である。
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