エセー
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『エセー』(仏: Les Essais)もしくは『随想録』(ずいそうろく)は、フランスのモラリスト、ミシェル・ド・モンテーニュが107の随筆を集めて1580年に刊行した書物である。モンテーニュは随筆(エッセイ、エセー)という、特定の話題に関する主観的な短い文章の形式を発明したのであり、この書物はそのエセーを収めている。人間のあらゆる営為を断続的な文章で省察することによりモンテーニュは人間そのものを率直に記述しようとし、モラリスト文学の伝統を開いた。フランス語のessaiは「試み」や「企て」という意味である。
- ^ “UNESCO Memory of the World Register”. UNESCO. 2023年5月27日閲覧。
- ^ 第3巻11章。ウィキソース原文
- ^ 第2巻12章。ウィキソース原文
- ^ 第1巻26章。ウィキソース原文
- ^ Montaigne, Michel de. The Complete Essays. Trans. M. A. Screech. London: Penguin, 2003 (1987), p. 1284
- ^ Les Essais (1595 text), Jean Céard, Denis Bjaï, Bénédicte Boudou, Isabelle Pantin, Hachette, Pochothèque, 2001, Livre de Poche, 2002.
- ^ 原訳の別版は、各・筑摩書房で『世界古典文学全集37・38 モンテーニュ』、『筑摩世界文学大系13・14 モンテーニュ』
- ^ 全集(新版)は全9巻。他は「旅日記」「書簡集」
- ^ 荒木訳(編訳)はグーテンベルク21で、関根訳は国書刊行会で、各・2024年に電子書籍化。
エセー
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「ミシェル・ド・モンテーニュ」の記事における「エセー」の解説
詳細は「エセー」を参照 『エセー』(随想録)Essais は、フランスのモラリスト文学の基礎を築いたとも評される、モンテーニュの主著である。法官辞任後、1572年以降に執筆をはじめ、1580年にボルドーで刊行された(初版、2巻本)。1582年に再版され、続いての出版は、1587年にパリとルーアンであった。その後、1588年に第3巻及び初版(2巻)への大幅な加筆を行い刊行した(1588年版という)。以後は新版の出版のために執筆活動をつづけ、晩年も死去の直前まで本の余白に書き込みを行っており、この書き込みも含めて定本とされている。彼の死後1595年、マリ・ド・グネルとピエール・ド・プラクは大きく改訂した新版を出した。 エセーの意味は<試み>である。体系的な哲学書ではなく、自分自身の経験や古典の引用を元にした考察を語っている。宗教戦争の狂乱の時代の中で、寛容の精神に立ち、正義を振りかざす者に懐疑の目を向けた。プラトン、アリストテレス、プルタルコス、セネカなど古典古代の文献からの引用が多く、聖書からの引用はほとんどない点が特徴的である。17世紀のデカルトやパスカルにも多大な影響を与え、後には無神論の書として禁書とされた(1676年)。 20世紀ドイツ出身の文献学者のアウエルバッハは、著書『ミメーシス』で、『エセー』が初めて人間の生活、自分の生活を近代的な意味で問題にした本であるとした。
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