アニマルパスウェイ
森林を貫く道路は、木の上で暮らし木から木へ渡り歩く動物(樹上動物)にとって大変厄介な存在です。道路の向こう側の森にエサがあると分かっていても、まずは自動車が行き交う危険な道路を無事渡らなければなりません。残念ながら車にひかれて死んでしまう「ロードキル」も多く発生しています。動物の生息圏が狭まることで繁殖に悪影響を及ぼすとの指摘もあります。
そんな中、道路の上に小型の吊り橋を架け、分断された森を樹上動物が安全に行き来できるようにする取り組みが進んでいます。山梨県北杜(ほくと)市に本拠を置く財団法人キープ協会やニホンヤマネ保護研究グループが中心となり2004年に設立した「アニマルパスウェイ研究会」の活動です。
アニマルパスウェイを日本語に訳すと「動物の通り道」。国の天然記念物のヤマネやリス、ヒメネズミなどの往来を想定しています。研究会には大成建設や清水建設、NTT東日本などの企業が参加。日本経団連や日本建設業団体連合会の支援を受け、研究や実験を進めてきました。
これまでの設置実績は2005年10月に完成した実証実験用の吊り橋と、2007年7月に市道上に設置した吊り橋の2カ所。ともに北杜市内にあり、3カ所目も近く同市内に完成予定です。07年7月設置の吊り橋は設置後3カ月でヤマネなどの小動物が850回以上も利用しているのが確認されています。
アニマルパスウェイから部品などが落下して道路を走行する車や人に当たることがないよう、研究開発段階では安全性を最重要視。風の抵抗や雪の重みで橋が壊れないように構造を工夫したほか、樹上動物にとっての歩きやすさにも配慮しました。設置費用は1件当たり約200万円です。
どんなに素晴らしい通り道ができても、動物が来てくれなければ意味がありません。アニマルパスウェイの設置は場所選びが重要になります。研究会では動物がエサを食べた跡やフンの位置、ロードキルの発生場所、モニタリングカメラの映像などを参考に、動物が頻繁に往来するアニマルパスウェイの適地を選んでいます。
研究会ではアニマルパスウェイをさらに普及させるために、設置場所の選定や施工、運用方法などを映像にまとめたDVDを制作しました。生物多様性関連のセミナーなどで無料配布し、道路を管理する自治体や地域の民間非営利団体(NPO)などに設置を促していきます。
2010年10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を控え、生態系保全の議論が国内外で加速するのは確実な状況と言えます。研究会では英語版DVDの制作も検討しており、COP10の関連イベントなどを通じて海外にもアニマルパスウェイを広めていきたい考えです。
(掲載日:2010/03/16)
そんな中、道路の上に小型の吊り橋を架け、分断された森を樹上動物が安全に行き来できるようにする取り組みが進んでいます。山梨県北杜(ほくと)市に本拠を置く財団法人キープ協会やニホンヤマネ保護研究グループが中心となり2004年に設立した「アニマルパスウェイ研究会」の活動です。
アニマルパスウェイを日本語に訳すと「動物の通り道」。国の天然記念物のヤマネやリス、ヒメネズミなどの往来を想定しています。研究会には大成建設や清水建設、NTT東日本などの企業が参加。日本経団連や日本建設業団体連合会の支援を受け、研究や実験を進めてきました。
これまでの設置実績は2005年10月に完成した実証実験用の吊り橋と、2007年7月に市道上に設置した吊り橋の2カ所。ともに北杜市内にあり、3カ所目も近く同市内に完成予定です。07年7月設置の吊り橋は設置後3カ月でヤマネなどの小動物が850回以上も利用しているのが確認されています。
アニマルパスウェイから部品などが落下して道路を走行する車や人に当たることがないよう、研究開発段階では安全性を最重要視。風の抵抗や雪の重みで橋が壊れないように構造を工夫したほか、樹上動物にとっての歩きやすさにも配慮しました。設置費用は1件当たり約200万円です。
どんなに素晴らしい通り道ができても、動物が来てくれなければ意味がありません。アニマルパスウェイの設置は場所選びが重要になります。研究会では動物がエサを食べた跡やフンの位置、ロードキルの発生場所、モニタリングカメラの映像などを参考に、動物が頻繁に往来するアニマルパスウェイの適地を選んでいます。
研究会ではアニマルパスウェイをさらに普及させるために、設置場所の選定や施工、運用方法などを映像にまとめたDVDを制作しました。生物多様性関連のセミナーなどで無料配布し、道路を管理する自治体や地域の民間非営利団体(NPO)などに設置を促していきます。
2010年10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を控え、生態系保全の議論が国内外で加速するのは確実な状況と言えます。研究会では英語版DVDの制作も検討しており、COP10の関連イベントなどを通じて海外にもアニマルパスウェイを広めていきたい考えです。
(掲載日:2010/03/16)
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